株式会社日立製作所(以下、日立)は、駅係員や乗務員による車いすや白杖などの利用者を対象とした、列車乗降サポート業務をトータルに支援する「移動制約者ご案内業務支援サービス」をリニューアルした。
「移動制約者ご案内業務支援サービス」は、紙や電話での運用を電子化し、駅係員間の一連の連絡業務をスマートデバイス上で完結できるサービスだ。
既に複数の鉄道事業者が導入しており、自社路線内での案内業務では従来の紙と電話に頼ったアナログ作業が不要となったものの、相互直通運転されている一部の路線では、相互直通運転先の事業者・降車駅との連絡のために、従来のアナログ作業が部分的に残存する形になっており、事業者間における連携機能の実現が求められていたのだという。
また、同サービスの導入効果として、電話の聞き間違いや、記録やアラームセットの誤りまたは失念などが防止されたことにより、ヒューマンエラー発生の低減については効果が得られたものの、降車駅係員のホーム待機場所間違いに起因する「アプリへの乗車ドア位置記録入力誤り」などのヒューマンエラー発生の原因が残存していた。
こうした背景を踏まえ、日立は同サービスにおいて、必要な機能を追加導入できる4つのオプション機能を新たに追加した。
一つ目は、相互直通運転連携オプションだ。相互直通運転されている列車を利用者が利用になる場合、乗車駅・降車駅が直通先の路線の駅であったとしても、駅係員が自社路線内での案内業務と同等の感覚でスマートデバイスを使用し、情報伝達を行えるようにする機能だ。
二つ目が、乗り換え連携オプションだ。通常、利用者が乗り換え専用改札を経由して他社路線に乗り換えをする場合、自社路線内での乗り換えと同様に乗り換え先の鉄道事業者・路線の駅係員と連携した案内対応が必要となる。このような場合、駅係員が自社路線内での乗り換え時の案内業務と相違なく、スマートデバイスを使用した情報伝達を実現する機能だ。
利用者の視点では、降車駅などの情報を乗り換えのたびに事業者ごとに何度も伝える必要があったところが、最初の乗車駅で伝えた情報が事業者同士で連携される。
三つ目が、乗車位置検知オプションおよび待機位置誤り防止オプションだ。降車駅係員におけるホームの待機場所間違いを防止すべく、乗降ドア位置付近のホームドアまたはホーム上に設置したICタグをスマートデバイスにて読み込み、正確な乗降ドア位置を案内情報として登録することができる。
また、降車駅側でも同様に列車到着前にICタグを読み込み、正しい位置で待機しているかどうかの確認が容易になる。
4つ目が、事前受付オプションだ。利用者からの案内依頼の受付を、当日に駅改札などで受け付ける従来の方法に加えて、Webサイトを介して、利用前日以前でも受付可能とする機能だ。
利用者が乗車したい列車をあらかじめ指定する方法と、乗車駅と降車駅ならびに来駅予定時間帯を指定する方法のいずれかに対応可能で、乗車駅で駅係員が入力すべき情報が減るほか、利用者の待ち時間も少なくなり、当日のスムーズな案内が可能になる。
利用者の視点では、降車駅などの情報を駅改札にて口頭で伝える必要がなくなるほか、通勤・通学などで繰り返し同じ経路の電車を利用する場合も、過去履歴から入力する機能を使うことができる。
今後日立は、「移動制約者ご案内業務支援サービス」の機能追加を継続的に展開し、鉄道事業者だけでなく、他の公共交通機関を乗り継いで最終目的地に移動できるようなシームレスな仕組みづくりも検討していくとしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。