地方インフラ構築支援を行う株式会社フォレストシーは、独自LPWAを活用し、ワナ猟における有害獣の捕獲を通知するシステム「オリワナ通信(おりわなつうしん)」を販売、2017年11月30日より受付を開始すると発表した。
近年、全国で野生獣における農林業の被害が深刻化している。そこで同社は岐阜大学と共同で、日本の森・里山・川・海が再び活力と豊かさを取り戻すために増え過ぎた野生動物の問題を解決すべく独自無線技術 LP-WAVEとIoTシステムを活用したサービス「オリワナ通信」を開発するに至った。
「オリワナ通信」は通信範囲の広さ・省電力性に優れたLPWA無線技術を用いて、携帯電波が届かない山間部でも通信を可能にする独自規格LP-WAVE(えるぴーうぇいぶ)によりくくり罠・囲い罠・はこ罠の作動状況をリアルタイムに監視するシステムだ。
罠が作動すると利用者の端末へ通知が届き、迅速な後処理を実現。ワナ猟従事者の見回り負担を軽減する。
最大の特徴は250mWの電波出力と中継機能により、携帯電波が届かないような農地・林業・高山などでも簡単にインフラを構築できることだ。また、岐阜大学野生動物管理学研究センター森部准教授との共同研究で160kmの通信が確認されたことにより、中継機能を活かせば最大640kmの通信が実現するという。
「オリワナ通信」には以下の3つの特長がある。
- 捕獲がすぐにわかる:作動がわかることで迅速なかけつけを実現、食肉利用の品質向上・錯誤捕獲の早期対応ができる
- 捕獲された場所がわかる:GPSを搭載し、いつ・どこで・誰の罠が作動したか把握可能(アプリで証拠写真の記録も可能)
- 情報を共有できる:複数の子機を一つの親機で紐付け共有できるので、自治体や獣肉加工施設など地域ぐるみで管理可能
フォレストシーは、高齢者・農林業従事者の見守り、地滑り感知システム、野性動物を適正な状態に管理・保護を行う管理用端末も同じLP-WAVEを使用したインフラを応用して現在も開発を進めている。また、捕獲後の食の安全・安心を担保するトレーサビリティーシステム「ジビエド・タグ」の開発も進めているという。
【関連リンク】
・フォレストシー(Forest to Sea)
・岐阜大学(Gifu University)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。