アリババ創始者のジャック・マーが立ち向かう、生活の向上
そもそもアリババの創始者であるジャック・マーは、農村の「利便性ディバイド」を大きな課題と考えていたという。明らかな不便を便利にすることを掲げて、EC事業を展開したのだ。
現在、盤石となったEC事業を軸に、「ニューリテール戦略」を掲げ、リアル店舗へ進出すると同時に、物流課題の解決にも取り組んでいる。こういった取り組みによって、生活の様々な不便が便利となる「Before→Afterの変化」が起こっているのだ。
関係者によると、実は多くのトライと失敗、その検証を行う中で、中国の便利な生活は構築されているのだという。
PoCで留めず、どんどんトライアンドエラーを繰り返すのが「中国流」と言っても良いのかもしれない。この、どんどん新しい課題解決にトライする姿勢には感銘すら覚える。

失敗例としては、この2年で急増した無人店舗の事業があるという。
一方、Amazon goのような決済無し店舗は、MWC19 Shanghaiでも展示されていて、今後実店舗でも展開される模様だ。
話題のアリババホテル FlyZoo Hotelに宿泊してみた

今回宿泊したFlyZoo Hotelは様々なトライが詰め込まれていた。
まず、フロントは無く、KIOSK端末でセルフチェックインをするようになっていて、そこで顔認証の登録も行う。
次に、部屋の扉にはカメラが付いており、扉の前に立つと顔認証でアンロックされるのだ。
そして、部屋に入ると自動でカーテンが開き、調光されるようになっていた。部屋の中にはスマートスピーカーがあり、空調や明るさの調整、必要なモノの注文、テレビの操作などができる。ホテルの情報も聞くことができ、Wi-Fiパスワードもスマートスピーカーに教えてもらう仕組みになっていた。ただし、中国語専用なので私たち日本人には少し不親切だったが。

密かな気遣いとして、部屋を出たことを確認するとエレベーターがそのフロアまで先回りして動き出す仕組みもあった。これは実際に宿泊して、確かにエレベーターがなかなか来ないと感じることは皆無だった。
さらにホテルの1Fには、ロボットアームがバーテンダーとなりカクテルを提供してくれるバーがあるなど、活用可能なテクノロジーを数多く取り入れたホテルになっていた。
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。