商品梱包漏れを画像認識技術で防止する
小泉:ロボットの他に新しい取り組みはありますか。
秋葉:改めて物流施設の中でロボット化・機械化できないところは何か、ということを考えた時に浮かんだのがカメラです。
例えばオーダーされたものをピッキングして検品して出荷する、という流れで作業しますが、出荷した後に「商品が入っていなかったよ」と言われても、こちらでちゃんとカメラで映像を取っていなければ、きちんと作業したという事を証明できないわけです。
そうした問題を防ぐためにも、カメラシステムのサービスを作っておかなければ、と思っています。
八子:どこにでも取り付け可能な画像認識ソリューション、ということですよね。そうしたソリューションはマーケットには存在していますが、ロジスティクスに特化したものがない、ということなのでしょうか。
秋葉:そうです。そして先ほどのロボットと同様、他で使われているソリューションをいかにロジスティクスに応用するか、という話になってきます。
例えば小売りだと、顧客がどの棚の前に長くいたのか、といった導線調査がありますが、これを顧客の導線をチェックする代わりに、作業者が指定の棚へ手を入れたのかをチェックする、といった応用方法が考えられます。
八子:それはカメラを使わずに、RFID(電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム)で解決できるのではないでしょうか。
秋葉:本当ならばRFIDで解決したい問題です。ただし、それには扱う荷物全てにRFIDを付ける必要があります。例えRFIDが付いていない荷物が1つだけだとしても、そのために専用の作業をしなければなりません。
例えばアパレル業界では、オンワードさんがラメ入りの服以外の全てにRFIDを付けました。これは画期的であり、オンワードさんと一緒になって今後も展開していきたいな、と思います。しかしタグを付けるのに1枚当たり10円がかかってしまうなど、ここでもコストの問題が浮上するわけです。
八子:それは予算を出せるブランドの荷物にしかつかなくなってきますよね。それに比べれば、カメラの方が極めて汎用的でかつコストも抑えることができる気がします。荷物のイン&アウトが発生するあらゆる個所にカメラが設置されれば、たいへん便利になりますよね。
秋葉:そうです。今はカメラを導入する価格もそれほど高くはありませんし、まずは取り付けてみようという気になります。画像だけで足りない、というのであれば、さらに音声情報を加えて補う、という考え方も出るでしょう。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。