IoTNEWS代表の小泉耕二と株式会社ウフルCIO/株式会社アールジーン社外取締役の八子知礼が、IoT・AIに関わるさまざまなテーマについて月1回、公開ディスカッションを行う連載企画。20回目となる本稿では、ダイワロジテック取締役/株式会社フレームワークス代表取締役社長の秋葉淳一氏をゲストに迎え、前編、後編に分けてお届けする。
前編はこちら。
後編ではロジスティクス業界におけるプラットフォームの確立や船舶輸送の未来など、ロジスティクス施設外の話題にまで議論が及んだ。
ロボットの費用は変動費化できない
小泉:物流現場の労働力が減っていく流れは止められないので自動化は必要だけれども、フルオートメーションのような設備はお金の面ですぐには導入出来ないから、まずはコストの低い既存のソリューションを上手く使っていこう、というお話が前編での議論の中心でした。
ダイワロジテック 秋葉淳一氏(以下、秋葉):はい、「技術的に新しいことをしよう」というよりも「いま使えるものをどうやって活用していこうか」という気持ちで物流の改革に取り組んでいます。
現在のところ、メーカーさんの物流なら比較的オートメーション化がやり易いですね。パレットの単位で動かすか、段ボールのケースの単位で動かすかができれば自動化は簡単です。ただ、対象が小物化すると自動化はすごくやりにくくなる。
八子:同じ「ものを掴む」という動作でも、扱う対象の大きさや重さが異なると、全く違う動きが要求されますからね。
秋葉:そこら辺の話はMUJINなどが工夫しようとしているわけですが、ここでまた前編でお話しした価格の問題が出てくるわけですね。そういう異なる動作に対応できるロボットを投入できる会社がどれだけあるのか、という話が当然出てきます。
ロボットの価格は「変動費に組み込めない」という問題があります。人件費の場合はパートの労働時間によって変動費化できたのに、設備になった瞬間に変動費化できない。
小泉:高額のロボットは資産計上しなければならなくなりますよね。
秋葉:そうなんです。
八子:人件費を変動費化するための延長線上でIT化などが検討されているにも関わらず、また変動費化できない、という話に戻ってしまう悩みがあるわけですか。そうなると「Temi」のような汎用型のロボットをリソースとして使っていく、という話にたどり着きますよね。
次ページは、「業界単位のシェアドサービスセンターが必要」
無料メルマガ会員に登録しませんか?
1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。