最近「OMO」という言葉をよく聞く。日本ではまだあまり馴染みがなかったり、誤解されて使われている印象がある。
このOMOとは、Online Merges with Offlineの略だが、Mergeという言葉の意味は「1つになる」「合併する」「融合する」という意味合いがある。つまり、オンラインとオフラインが融合するということを示している。
すなわち小売業であれば、ECサイトで買うのも店舗で買うのも垣根がなく融合されているということだ。
消費者としては、自分の状況に合わせて、一番便利な方法でものを買いたいというニーズがある。例えば現在気に入ったECサイトがあったとしても、外で喉が渇いたという時にECサイトを使うという人はいないだろう。
一番近くにある実店舗や自動販売機などで飲み物を購入する。これはECサイトにとって機会損失である。
もし消費者が気に入ったECサイトの実店舗があれば、そこで買うかもしれないという可能性を摘んでいることになる。
データを取得するツールという考え方
そしてここで重要となってくるキーワードは「データ」である。
ここでの機会損失とは、単純に実店舗での飲み物の購入という利益の損失だけでなく、顧客の購買データの損失でもあることを意味する。
現在ではアプリなどを利用し、実店舗においてもデータを蓄積することができるため、EC・実店舗関係なくシームレスに顧客データを取得するツールは整っている。
そのためECサイトを運営している会社が実店舗を構えるということ(逆もまたしかり)は、顧客接点を増やし、一人の顧客の購買行動を1つなぎで把握するためのツールであると考えられる。
そしてこのひとつなぎのデータを活用して、できるだけ早く顧客へのフィードバックとして改善をし、市場に戻すことが顧客を手放さない鍵となる。
データが上がれば上がるほど便利に安く、もしくは自分好みの商品を買えるとなると顧客はその店(EC・店舗問わず)を選んで購買するようになる。
そして購買すればするほどデータが上がり、さらにその顧客にとって良いサービスが提供される。というお互いにとって良いサイクルを生み出すという発想こそがOMOなのだ。
ここで「リアル」「オフライン」という部分だけに着目してしまうと、単純に実店舗を持っている企業がECサイトを運営したり、ECサイトの企業が実店舗を持てばいいのか、という発想になってしまいがちだがそうではない。
実店舗とECサイトのデータを縦割りで持ってしまったり、実店舗ではデータを取らないということをすれば、価値は半減する。
実店舗やECというものは「データ」をシームレスに取得するためのツールであると考え、顧客接点という意味では違いがないという考え方だ。
もちろん実店舗には人がいることから人と関わることの温かさや、信頼関係の構築の場として活用できる。また実際の商品を目にする場としての重要な役割を果たす。
そしてECサイトのメリットは世界中のどこにいても買い物ができるという点だ。
企業にとってはこのような利点の違いを生かすということは大事になってくるが、顧客にとってはその時に一番都合のいい買い方をしているだけで、そこに差はないのだ。
顧客に都合のいい商品受け取りを
ここで忘れては行けないのが物流だ。オンラインとオフラインの融合がOMOであるため、実店舗で常に持ち帰らなければならなかったり、ECサイトですぐに運ばれてこないという事態になれば顧客満足度は低減する。
実店舗であれば持ち帰りたいときは持ち帰れ、配送も短時間で行えるということ。ECサイトであればスピード配送を始め、受け取り場所の指定や配送の時間指定を行えるということ。
このように受け取りたい時に受け取りたい方法・場所で受け取れるということは顧客にとって大きな価値だと言える。
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