沖電気工業株式会社(以下、OKI)は、ひとつの配送先拠点に対して複数台の車両で荷物を届ける「分割配送」をもとに、「コスト最小型ルート配送最適化AI」を構築している。
「コスト最小型ルート配送最適化AI」は、2021年11月からの試行運用しており、最小コストかつ最適な配送ルートを算出できることを実証している一方、走行距離削減を最大化すると過剰な分割が発生し、各店舗での積み下ろし作業の増加や複数車両が同時に搬入するなど、煩雑さによる分割損を考慮する必要があった。
さらに、地図上では高速道路などの有料道路を利用することで最適な組み合わせであったとしても、渋滞や通行止めなど配送リスクが高いルートへの配慮などが必要であった。
そのため、最終的に熟練社員の経験による調整を行わないと、スムーズな運用ができない場合もあったのだという。
そこでOKIは本日、「コスト最小型ルート配送最適化AI」に、熟練社員の配車技量をAI化させた配送時間調整などのプログラムを新たに開発したことを発表した。
このプログラムは、配送時の荷物の過剰分割を防止するほか、あらかじめ配送リスクの高いルートを除外する機能を追加するなど、熟練社員に属人化している配車技量をAI化している。
これにより、熟練社員に依存していた配車調整業務を平準化させ、最適な配送ルートを算出することができる。また、従来では考慮できていなかった有料道路利用料の配慮や配送先の搬入作業時間も設定できるようになり、搬入時間帯を被らせないなどの対応も可能となる。
なお、2021年11月より行っている株式会社ロンコ・ジャパンとの実証実験にこの機能を適用させた結果、燃料費に加えて有料道路利用料を併せた年間経費の削減額を、従来の「コスト最小型ルート配送最適化AI」よりも約2倍削減することが確認されている。
また、実際に配送車両台数15台、配送店舗数約50のエリアで実験を行ったところ、前回実験の燃料費約360万円だけでなく、有料道路利用料を含めて約700万円削減することができたのだという。
OKIは、「コスト最小型ルート配送最適化AI」を来年度にサービス開始させることを目指すとしている。
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