ライフスタイルの変化などからEC市場が拡大する一方で、エネルギー価格や原材料価格の上昇、労働力減少により、物流コストは今後も高騰が見込まれている。
オルビス株式会社では、現場の熟練担当者の判断や、商品サイズから梱包サイズを決定するシステムによって梱包サイズを決定しており、必要なサイズよりも大きな梱包材を使い、余分な配送費が発生するケースがあった。
同取り組みでは、DATAFLUCTの機械学習サービス「Perswell」とデータプラットフォーム「AirLake」を組み合わせ、オルビスの商品データ・出荷データ・梱包材の価格データをもとに機械学習で最適な梱包材のサイズを算出した。
Perswellは、社内にデータサイエンティストがいなくても需要予測モデルを利用でき、作業工数の削減や予測精度の改善によって欠品・余剰・在庫回転率および配送計画を改善する。様々な外部データを活用できる機械学習アルゴリズムを採用することで、従来の「古典統計」では不可能だった外部要因を考慮した予測を実現した。一方のAirLakeは、動画・画像・音声など多種多様な形式の非構造化データを誰でも簡単に使えるデータに変換できるクラウド型のデータプラットフォームである。
アパレル商品の折り畳みや、袋の中の空気を抜くなどの対応は人間には「梱包時に容易に取り入れられるサイズダウンの方法」だが、一般的に発表されている論文や、実装されている箱詰めのアルゴリズムでは考慮されていない。同取り組みでは、オルビスのEC商品特性を考慮し、こうした実践可能なサイズダウンの方法を含むモデルを作成することで、梱包サイズの最小化を実現した。
また、オルビスの物流拠点では、梱包担当者の手元のディスプレイに梱包サイズの情報を表示して、作業をサポートしているが、本番環境ではPerswellで算出した最適な梱包サイズを表示し、より精度の高い情報を担当者に共有する。これにより、さまざまなサイズが用意された梱包材から迷うことなく最適サイズを選ぶことができ、熟練度に左右されず全ての担当者が効率的に作業することができる。
今後は、2023年度中にオルビスの国内全てのEC発送時に同システムを活用することを目指すとしている。
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