株式会社オカムラは、自律・遠隔操作ハイブリッド型ロボットによる物流自動化ソリューション「PROGRESS ONE(プログレスワン)」の事業化に向けた取り組みの一環として、物流ピッキングロボットの遠隔操作時の力覚フィードバック効果の調査研究を実施した。
なお、この研究は「サイズや出力が異なるロボットの遠隔操作時の力覚フィードバック効果の先導調査研究」として、モーションリブ株式会社と共同で実施されたものだ。
遠隔操作ロボットシステムにおいて、オペレータが遠隔地から物流現場にあるロボットでピッキング作業を行う際に、操作画面による視覚的な判断だけでは、遠隔での把持(しっかりものをつかむ)操作が困難であることが課題となっていた。
「プログレスワン」の事業化を進めるにあたり、視覚に加え、力覚フィードバックで操作性を高める開発・研究が必要だったのだという。
そこで今回の研究では、ピッキングなどの物流施設内作業を想定した遠隔操作ロボットシステムにおいて、オペレータが遠隔地からディスプレイを見ながら作業を行う際に、複雑な動作になるほどロボットが物体と接触した時の引っ張られる・押されるなどの力覚情報を、人に知覚させる力覚フィードバックの重要性を実証するとともに、課題を検討した。
実験では、オペレータが遠隔地からディスプレイを見ながら作業を行う際の力覚フィードバックに関する課題の特定と課題解決の検討のため、2段階で実施した。
まず、同じ型式のロボット2台を接続してオペレータ(プライマリー側)と作業用ロボット(セカンダリー側)で出力差がある遠隔操作環境を簡易的に構築し、物流現場で想定される遠隔操作作業(デモ作業)を通して、力覚フィードバックの有無が遠隔操作に与える影響を定量的・定性的に確認した。
力覚フィードバックには、力触覚伝送技術であるリアルハプティクスを搭載したシステムを使用。物流現場のピッキングや緩衝材を詰める作業において、適切な変位や力の増幅率が、遠隔操作に与える効果を確認した。
また、オペレータが操作を行う際に、リアルな操作感を再現するための変位や力について課題を特定した。
次に、プライマリー側とセカンダリー側で大きさの違うロボットを用いて、同じ型式での実験で効果がみられた倍率の組み合わせを検証した。
そして、変位や力についての課題解決として、オペレーターの補助機能となるディスプレイに表示するUIの有効性を確認した。
実験結果から、「力覚フィードバックが遠隔での把持操作や緩衝材の押し込みを効率的に行うために必要不可欠な機能である」ということ、「オペレーションの熟練者と初心者ではそれぞれ必要とする補助機能が異なること」などが明らかになった。
今後オカムラは、これらの研究結果を生かし、「PROGRESS ONE」の事業化に向けた研究や開発を進めていくとしている。
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