SDGs ーDXキーワードテスト

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特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。

さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「クラウド」。全問正解目指してがんばってください!

100点を目指そう!DX KEYWORD TEST(7)


DX KEYWORD TEST第七回は、「SDGs」について。

解説編

ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。
全部読んだら、再度問題にチャレンジしましょう!

SDGsはどこからやってきたのか、ルーツを探る

SDGsはどこからやってきたのか、ルーツを探る

貧困、紛争、感染症、気候変動、資源の枯渇など、このままでは人類が安定して世界で暮らし続けることができなくなる、と言われています。

そんな危機感から、世界中の様々な立場の人々が話し合い、2030年までに達成すべき具体的な目標を立てました。それが「持続可能な開発目標」です。

英語にすると、Sustainable Development Goals。略して、SDGs(エス・ディー・ジーズ)です。

「持続可能な開発」とは何を意味しているのでしょうか?

その起源は1987年にさかのぼります。

当時、国連が「我ら共有の未来」という報告書を発表し、そのなかで「持続可能な開発」という考え方がはじめて提唱されました。

その定義は、「将来世代のニーズを損なうことなく現在世代のニーズを満たすこと」です。

「将来世代のニーズ」とは、今後生まれてくる子や孫の世代が、豊かな地球資源から恩恵を受けるということで、「現在世代のニーズ」とは、今を生きる世代のだれもが地球資源の公平な分配を受けることを言います。

つまり、世代間でも世代内でも地球資源から受ける恩恵に格差があってはならず、そのために有限な地球資源を保全し、共有していきましょう、という考え方が持続可能な開発です。

ところで、SDGsの前にも国際社会が共通の目標に向かって課題解決を目指す取り組みが存在していたのを知っていますか?

2001年、国連総会で2015年を期限としたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)が採択されました。略して、MDGs(エム・ディー・ジーズ)です。

SDGsは知っているけど、MDGsは知らないという人は多いのではないでしょうか。それも無理はありません。

SDGsもMDGsも世界全体で達成すべき共通目標という点は同じですが、MDGsは極度の貧困や飢餓の撲滅といった開発途上国の課題が中心で、先進国はいかに支援するのかという位置付けだったからです。

では、先進国には解決すべき課題がないのか?と言われると、格差問題や都市の安全など、たくさんありますよね。

そこで、持続可能な開発というのは、発展途上国だけでなく、先進国も加わって取り組むべき問題ではないか、と問いなおされた結果、誕生したのがSDGsです。

そこでSDGsはMDGsの後を継ぐかたちで、MDGsで解決しきれなかった課題の解決を目標として据えつつ、すべての国を対象として新たに取り組むべき目標も新たに設定されました。

そのため、MDGsでは8つの目標とそれらをもとにした詳細な21のターゲットが設定されていましたが、SDGsでは17つの目標と169ものターゲットが設定されています。

SDGsとデジタルは、どう関連する?

SDGsとデジタルは、どう関連する?

結論からいうと、SDGsで掲げられている各目標を達成するための手段の1つとして、デジタル化があるという位置付けです。

とはいえ、SDGsは17個もの多岐にわたる目標があるので、デジタルが活躍する分野もあれば、そうでない分野もあります。

たとえば、女性や女児が受けている差別や暴力を減らすことを目標とした「5.ジェンダー平等を実現しよう」という目標にたいして、デジタルが役に立つのかどうかは疑問です。

では、SDGsのどんな目標であれば、デジタルは活躍できるのでしょうか。

政府が2016年に作成した「SDGs実施指針」を見てみましょう。

それによると「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「11.住み続けられるまちづくりを」というゴールを達成するための手段として、 IT利活用の徹底が掲げられています。

IT利活用の徹底とは何でしょう。政府の「SDGsアクションプラン2022」を読むと、こんなことが書いてあります。

「地域が抱える、人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題を、デジタルの力を活用することによって解決していく。世界最先端のデジタル基盤の上で、自動配送、ドローン宅配、遠隔医療、教育、防災、リモートワーク、スマート農業などのサービスを実装していく。」

まだ抽象的な部分はありますが、少しイメージしやすくなりました。

例えば交通が不便な地域に暮らす高齢者は、買い物や病院に診察を受けに行くのも大変ですよね。

そこをドローン宅配や遠隔医療を駆使していくことで、「11.住み続けられるまちづくり」という目標達成に近づいていく。そんなイメージがわきます。

以上、政府としては、目標8、目標9、目標11にデジタルを活用していくという方針ですが、これらの目標以外でもデジタルが貢献できることは、たくさんあると思われます。

たとえば、AIで需要を予測することで、作りすぎを減らすというデジタル活用であれば「12.つくる責任、つかう責任」の達成に貢献できます。

このようにデジタルは社会を変革する力を持っていますので、分野によっては目標達成のための大きな推進力となるでしょう。

企業がSDGsに取り組むメリットは?

企業がSDGsに取り組むメリットは?

ここで企業がSDGsに対応することよるメリットを整理しておきます。

環境省が作成する「持続可能な開発目標活用ガイド」では、SDGsの活用によって期待できる4つのポイントが掲げられています。ところどころ補足しながら、紹介します。

第1に企業イメージの向上です。

SDGsへの取組みをアピールすることで、多くの人に「この会社は信用できる。」「この会社で働いてみたい」という印象を与え、より多様性に富んだ人材確保にもつながると言われています。

第2に社会の課題への対応です。

SDGs には社会が抱えている様々な課題が網羅されていて、今の社会が必要としていることが詰まっています。これらの課題への対応は、経営リスクの回避とともに、社会への貢献や地域での信頼獲得にもつながります。

たとえば目標14「海の資源を守り、大切に使おう」では、年間900万〜1400万トンのプラスチックごみが海に流出しているとして、プラスチックの生産、使用、廃棄方法を変える必要性を訴えています。

実際、プラスチックストローが紙のストローに置き換わったり、レジ袋が有料化しているわけですが、こうした流れはプラスチックに関連したビジネスを行っている企業にとっては経営リスクです。

このように、国際社会が目指す方向に対し、自社のビジネスがどのような影響を受ける可能性があるのかを知り、必要であれば対策を講じることで、経営リスクの回避につながります

第3に生存戦略になる、ということです。

今後、SDGsへの対応がビジネスにおける取引条件になる可能性もあります。持続可能な経営を行う戦略としてSDGsが活用できます。

一般社団法人日本機械工業連合会および一般財団法人機械振興協会が発行した「2020年度関西製造業振興に向けたSDGsへの取り組みに関する調査」は、製造業を中心とした調査ではありますが、160社のうち約20%の企業が、取引先からSDGsの取組みを求められると報告されています。

特に大手企業では、SDGsに関連した環境や地域貢献の取り組みなどを確認したり、厳しいところでは、CO2削減目標数値をアンケートとして求めたりする場合もあるそうです。

第4に新たな事業機会の創出です。

SDGsの取組をきっかけに、地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生むことにつながります。

さて、以上がSDGsの活用によって期待できるポイントでしたが、実際に、海外では石油や石炭といった化石燃料を手がける企業から投資資金を引きあげる投資撤退(ダイベストメント)という動きが既に始まっているようです。

近い将来、SDGsに取り組むメリットよりかは、SDGsに取り組まないことにより生じるデメリットのほうが大きくなるかもしれません。

IT技術を駆使したSDGsの取組み事例

IT技術を駆使したSDGsの取組み事例

政府は2017年から「ジャパンSDGsアワード」として、SDGsの達成に向けて優れた取り組みを行っている企業や団体を表彰しています。

2021年に表彰された企業を1つ紹介します。

株式会社OUI(ウイインクと読みます)は、慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業です。同社は「2025年までに世界の失明を半分」にすることを目的として掲げています。

さて、世界の失明原因の第1位はなんでしょう?

答えは、白内障です。

白内障は適切な時期に治療をすれば失明に至らない可能性が高い病気ですが、開発途上国においては、眼科医がいなかったり、医療機器が高価で置いている病院や診療所も少なく、結果、白内障による失明が社会問題となってしまっています。

そこで、OUI社は、「Smart Eye Camera」を開発しました。Smart Eye Cameraはスマートフォンのカメラ部分に取り付けて使います。そのため、手軽に持ち歩きができ、どこでも診察をすることができます。

気になる性能ですが、病院で診断を行う時に使う顕微鏡と同様の性能を持っているそうです。

さらに、OUI社はSmart Eye Cameraを国内で約50台、海外で約100台を無償提供し、そこで集めた約1200本の動画を読み込ませることで、眼科診断AIアプリの開発をしました。

Smart Eye Cameraと開発した眼科診断AIアプリを組み合わせれば、どこでも、安価に、そして、誰でも眼科診断ができるようになるとして、期待が高まっています。

この取り組みはSDGsの3つめの目標「3.すべての人に健康と福祉を」に貢献しているとされます。

100点を目指そう!DX KEYWORD TEST(7)


DX KEYWORD TEST第七回は、「SDGs」について。

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