金融機関の温室効果ガス(以下、GHG)排出量においては、自らの排出量(Scope1/Scope2)は限定的で、投融資先に起因する排出量(ファイナンスド・エミッション、以下、FE)が99%以上を占めると言われている。
世界的に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」や、「科学的に根拠のある目標イニシアティブ(SBTi)」などで推奨されていることから、金融機関が排出量を計測・報告する際に活用する、金融業界のための国際的な基準「PCAFスタンダード」への準拠が求められている。
こうした中、株式会社NTTデータは、GHG排出量可視化ソリューション「C-Turtle」の新サービスとして、金融機関の国際的基準「PCAFスタンダード」に準拠し、投融資先のGHG排出量を算定するサービスを、2023年7月28日から提供開始する。
当初はβ版として、上場株式・債券、ビジネスローン、プロジェクトファイナンスのアセットクラスに対応し、順次拡大していく予定だ。
今回発表されたサービスでは、「C-Turtle」が持つ各企業の排出量の実測値(一次データ)を活用し、金融機関の投融資先GHG排出量算定を支援する。
英国のNGO「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(以下、CDP)」との連携や市場調査により、主要な企業の排出量の実測値(一次データ)をあらかじめプラットフォーム上に保持しているため、PCAFが定める5段階のデータクオリティでも、高スコアのデータを用いた算定を可能とする。

FE算定には、投融資先のGHG排出量情報のほかに、アセットクラスごと、取引先ごとの投融資残高と投融資先の資金調達総額などの情報が必要になる。
複数部署・システムにまたがって管理されている情報の収集・集約には時間と手間がかかり、今後、継続的に取り組む必要がある脱炭素対応においては、既存の金融機関システムとの連携による業務効率化が必要不可欠だ。
そこでNTTデータは、金融機関の勘定系システムや情報系システムの構築・運用ノウハウを活かし、既存の金融機関システムとの連携による効率的な排出量可視化支援を進めていく。

今後NTTデータは、金融機関システムとの連携による、効率的な排出量可視化支援を進めるとしている。
さらに、脱炭素戦略立案のコンサルティングから、再生エネルギーやカーボンクレジットの導入をはじめとする排出量削減に向けた施策の提案などの支援を行う予定だ。
なお、2023年8月3日に開催する日経オンラインセミナーにて、このサービスに関する講演を行う。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。