大和ハウス工業株式会社と大和リビング株式会社は、エネルギー事業を展開する株式会社サンワとともに、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を、2023年12月27日より開始する。
実証実験では、サンワが事業主となる新築賃貸住宅「(仮称)エコンフォート前橋駒形」に、雨天時でも約10日間の停電に対応可能(水道、ガスが使える場合)な「全天候型3電池連携システム」と、カーボンニュートラルLPガスを採用し、3社が設備のエネルギー供給状況・稼働率、余剰電力量のデータ集積・分析・評価を行う。
「全天候型3電池連携システム」は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を、大和ハウス工業が開発した「切換盤」で連携させることで、停電時の電力と給湯を確保するとともに、通常時の光熱費を削減するシステムだ。
「切換盤」を設置することで、エネファームで発電した電力を家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄え、家庭内で使用することもできる。
今回の実証実験では、「全天候型3電池連携システム」を物件の全戸に搭載するとともに、大和リビングとサンワが各戸の入居者が日常生活で使うエネルギーや設備の稼働率、余剰電力量のデータを分析する。
通常時は、電力使用量を削減するために、1日を通してエネファームで発電した電力に加え、昼間は太陽光発電システムで発電した電力を家庭内で使用することができるため、年間光熱費を削減することができる。
供給したエネルギーや稼働率、利用状況については、大和リビングが各戸の入居者にヒアリングを行うことで、データを蓄積し、分析する。
停電・雨天時には、一次災害や二次災害に伴う停電時に、家庭用リチウムイオン蓄電池が非常用電源として、生活に必要な電力を供給する。
停電が長期に亘る場合、エネファームが発電する電力を家庭内で使えるほか、家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄えることで、雨天でも約10日間の電力と給湯を確保することができる。
なお、停電時に利用可能な設備は、各戸のLDK照明、冷蔵庫、コンロ(ガス)、お風呂(ガス)、トイレ、電源コンセントとなっている。
また、実証実験で採用されているカーボンニュートラルLPガスは、原料採取から最終利用までの全ての過程で排出されるCO2を、植林や森林管理などによる環境保全活動などにより差し引き、実質「ゼロ」とみなすことができるプロパンガスだ。
「(仮称)エコンフォート前橋駒形」では、エネファームでのカーボンニュートラルLPガスの採用や太陽光発電システムの搭載などにより、国土交通省が定めた一般的な賃貸住宅と比較して、CO2排出量収支を200%削減する。(理論値)
また、各戸に配置される分散型エネルギーのため、ガスの供給が遮断された災害時などにおいても、個別に調査・点検を行うことで、都市ガスや系統電力に比べて相対的に早く復旧させることができ、防災にも配慮したエネルギーとして適している。
3社は今後もデータを蓄積し、課題の洗い出しを行うことで、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に繋げていくとしている。
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