昨今、水素の供給と利用の社会実装が推進されており、今後の国際取引の発展が見込まれている。しかし、水素サプライチェーンの運用では、製造源の多様化や国際間輸送などから、水素の流通が地理的・時間的に広範囲となり、関わるプレイヤーも多岐にわたる。
そこで川崎重工業株式会社は、水素流通を一元管理し、国内外の水素取引を支援するデジタル管理システム「水素プラットフォーム」の開発を進めており、2024年4月より実証試験を開始することを発表した。
将来の水素取引では、水素の「低炭素性の証明」が重要になる。評価や認証を取得することで、水素事業者は透明性と信頼性を持って低炭素水素を取引でき、非財務情報の評価・開示を進める企業などの水素利用者にとっても、評価・認証を確認できる。
この背景を受けて、川崎重工業は、水素事業者および水素利用者向けに、製造源やGHG排出量などの水素属性や取引に関するデータ、情報等を効率的に一元管理することで、低炭素水素のトレーサビリティを確保し、水素流通を「見える化」するプラットフォームの構築とサービス提供を計画する。

具体的には、水素の所在地や炭素集約度等の属性情報管理によるトレーサビリティの確保、GHG排出量および炭素集約度評価および管理、低炭素水素の認証取得支援、水素取引の支援といった4つのサービスから提供を開始し、将来的には市場の要請に応じてサービスを拡充する予定だ。
現在、「水素プラットフォーム」の基本設計は完了しており、提供サービスの有効性を検証するために、株式会社大林組が取り組む「大分県九重町 地熱由来水素利活用事業」を対象に、本年4月より実証試験を開始する。
その後は、2025年中に設計・開発を完了し、顧客評価を経て、多くの事業関係者が利用できるプラットフォームとして、2028年頃の商用化を目指すとしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。