データセンタの電力消費は、2030年には2018年の約6.4倍に増加すると予測されており、AIの浸透によるデータ処理量の増大などで、電力消費の増加が懸念されている。
一方で、データセンタ事業者には環境負荷の低減が求められており、消費電力の適切な把握が必要となる。しかし、これまではフロアやラック単位での消費電力や発熱量の把握しかできず、ICT機器ごとや利用者ごとの消費電力把握が困難だった。
そこでNTTコムウェア株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、ICT機器の電力消費とCO₂排出を可視化する実証を、2023年9月から11月にかけて実施した。
今回の実証では、データセンタの運用における環境負荷を抑制するためのもので、AIを用いて各ICT機器から排出される熱の温度をもとに、その消費電力を推定した。
具体的には、非接触の温度センサを用いて電力消費と強い相関を持つICT機器の排出熱を測定し、独自のAIモデルで解析。これにより、電力消費量の推定とCO₂排出量の算出が可能となった。
活用されているソリューションは、日本IBMのソフトウェア「IBM Maximo Application Suite」によるICT機器構成管理のデータ活用に加え、NTTコムウェアが開発した排熱やCPU使用率から消費電力とCO₂を推定するAIを搭載した「Smart Data Fusion」でデータを集約・算出している。また、同社の「4DVIZ」ダッシュボードにより、ICT機器の状況をデジタルツインとして可視化する。

また、データセンタ利用者にも、電力消費量やCO₂排出量のデータが可視化されることで、具体的なグリーンICTの検討や負荷低減取り組みの効果測定ができるようになる。
今後は、NTTグループが国内外のパートナーとともに推進する「IOWN」の活用も視野に入れ、データセンタの運用高度化、デジタル化に向けて両社は連携し、取り組む予定だ。
また、このソリューションはICT機器だけでなく様々な設備へ応用可能であることから、社会インフラ分野や製造業の工場など、多様な設備を有する企業への展開も検討されているとのことだ。
なお、このソリューションのデモンストレーションは、2024年1月に開設された日本IBMの新本社内のイノベーションスタジオで展示されている。
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