鹿島建設株式会社(以下、鹿島)は、建物の脱炭素化を支援するシステム「K-ZeX(ケーゼックス)」を構築した。
「K-ZeX」は、建物の企画、基本計画から設計、施工、運用までの各段階におけるデータベースやナレッジ、アプリケーション、サービスを統合し、建物のライフサイクル全体のCO2排出量削減を目指す脱炭素設計を、より体系的に推進するシステムだ。
企画、基本計画、基本設計など設計の初期フェーズにおいて、最新のエネルギーシミュレーションやエネルギー計測・データ分析技術を活用することで、建物の環境・エネルギー性能を可視化する。
「K-ZeX」の特徴は4つある。1つ目は、建物の脱炭素化に必要なZEB設計を超初期段階で支援するZEBコンセプトツールの活用だ。
これにより、目標とするZEBランクの達成に必要な建物の形状や外壁、窓の比率・大きさ、空調・照明設備などの基本仕様を、建物の企画、基本計画を行う設計の初期段階から検討可能だ。
2つ目は、各種パラメータスタディが可能なZEBデザインツールの活用により、ZEB設計を深化させることができる点だ。これにより、ZEBランクに大きな影響を与える、建物の外装や空調・照明・給湯設備などの詳細仕様のパラメータスタディが可能だ。
3つ目は、施工や運用時のCO2排出量を見える化できる点だ。実施設計・施工段階では、鹿島が独自開発した「建設時CO2排出量算定システム」と連携して、アップフロントカーボン(建設資材の製造・運搬および施工時に発生するCO2排出量)を算定し、施工時のCO2排出量を可視化する。
運用段階では、鹿島と鹿島建物総合管理株式会社が共同開発した、オペレーショナルカーボン(建物が実際に運用されている間に発生するCO2排出量)の運用実績を定期で届ける「KAJIMA Building Energy Letter」と連携し、運用時のCO2排出量を可視化する。
4つ目は、建物の運用データを最適な形で次の設計プロセスにフィードバックする点だ。建物運用データの管理プラットフォームを構築し、鹿島が保有する建物と鹿島建物が管理する建物のエネルギー消費データを分析する。また、分析結果を同システムのダッシュボードで見える化し、次の設計プロセスにフィードバックする。

鹿島は今後、同システムを積極的に提案・展開することで、脱炭素化ニーズに対応するとともに、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献すると述べている。
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