総務省「世界の音楽配信市場規模・契約数の推移及び予測」のデータによると、有料音楽配信サービスでは、音楽コンテンツのダウンロード課金型サービスが主流であったが、最近では動画配信と同様に定額制サービスの売上高が拡大しており、2014時と比べて、2020年には3倍以上になると予測されている。

現在の有料音楽配信サービスの代表例としては、欧州発のSpotifyや米国Pandoraなどが挙げられ、日本においても2015年夏頃よりAppleやLINE等の多くの事業者がサービス提供を開始した。2016年にダウンロード課金型と定額制の売上高は逆転し、今後も音楽配信市場においては、定額制配信型サービスの拡大が市場をリードすることが見込まれている。
そういった中、Bloombergは、「Tik Tok」で有名なByteDanceが、有料音楽サービスを開発していると報じている。
ByteDanceは、SpotifyやAppleとは違った音楽サービスを打ち出そうとしているのではないかと考えられている。
データ調査会社Sensor Towerによると、「Tik Tokは2018年の1年間に約6億6300万回インストールされた」としている。このことからTik Tokは、既存の顧客を音楽サービスに移行させることで、広告への依存を減らし、定期購買というビジネスモデルを展開していく狙いがあると思われる。
また、Bloombergによると、「Spotifyの顧客基盤は、依然として大部分が西洋で占められており、アジア、中東、およびアフリカで10%を占めるに過ぎない。アジアで最も人気のあるオンラインミュージックサービスは、TencentのQQ MusicやGoogleのYouTubeなど、無料で利用できるものが多い。そういった中TikTokは、今年の第1四半期にインドで最もダウンロードされた無料アプリだ。」と報じている。
このような背景から、ByteDanceは、新しい市場に今後音楽サービスを展開、拡大していくのではないだろうか。
新たな才能の発掘
さらに、現在Tik Tokは、新たなアーティストを発掘すべく、「TikTok Spotlight」というプロジェクトを打ち出している。
Tik Tokは、「韓国、日本、そして世界へと広がっていきます。TikTokという世界的プラットフォームを通して、各ローカルで生まれたミュージシャンが世界で活躍できるプロジェクトにしていこうと計画しています。」とコメントしている。
また、このプロジェクトでは、参加レーベル、パートナー企業として、avexやsony musicなどの音楽レーベルや、Line MusicやSpotifyなどの音楽配信サービスとも提携をしている。
ByteDanceが今後音楽配信サービスを打ち出せば、自社で育てたアーティストを、自社の音楽配信サービス限定での配信をし、付加価値をつけていくということが予測できる。
ByteDanceの今後の動向に注目していきたい。
参考:
平成30年度版 情報通信白書
bloomberg
SensorTower
bytedance
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