東京大学 生産技術研究所の杉原 加織准教授と、深圳先進技術研究院のガルッチマッシミリアノ准教授らの共同研究グループは、色の変化で力を可視化するウェアラブルセンサを開発した。
このウェアラブルセンサは、ナノスケールでの異方性制御により、加えられた力の強さを色の変化として視覚的に捉えるものだ。
研究では、これまで見過ごされてきた材料設計の鍵である、材料の面内方向において特性が均一でない「面内異方性」に着目し、力に反応して色を変えるメカノクロミックポリマーであるポリジアセチレンの構造をナノスケールで制御することで、力感受性を最大14倍に高めることに成功した。
具体的には、独自に開発した、x,y,z方向の力を定量化できるナノ摩擦力および蛍光複合顕微鏡の合体装置を用いて、ポリジアセチレンを構成する高分子主鎖に対して垂直方向に力を加えたとき、蛍光強度が倍増することを突き止めた。
なお、この現象は、力を加えた局所点から数百ナノメートル先まで力の影響が伝播する「ドミノ効果」によって説明された。

さらにこの知見を活かし、指の曲げ動作で生じる力を感知するウェアラブルセンサを開発。ポリジアセチレンの主鎖を力の方向に対して垂直に配置することで、感度を最大14倍に向上させたのだ。
これにより、電池を使わずに身近な力を可視化することができ、床ずれや靴底にかかる力の分布、部品間の摩擦などを容易に測定することが可能となる。
東京大学 生産技術研究所の杉原准教授は、「定量的に力を読み取ることができる電池を使わないメカノクロミックセンサは、これまで測定されることのなかった身近な力を可視化し、新たな価値を生み出す可能性がある」とコメントしている。
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