ぷらっとホーム株式会社は、国内地域産日本酒の輸出拡大を目指す実証プロジェクトにおいて、新しいトークン「ThingsToken」を実証投入したと発表した。
このプロジェクトは、地域産日本酒の輸出に適した新しい輸出物流のモデル構築を行う実証事業としてスタートし、国内の酒造元をはじめ、損害保険会社、IT関連事業者、物流サービス会社、素材メーカなど、各領域の専門企業と専門家が参加している。
具体的には、共同配送や輸出ルートの研究・検討・システム設計を行い、Web3技術を用いた新しい輸出物流プラットフォームのモデル構築を行っている。
今回発表された「ThingsToken」は、2023年11月から12月にかけて行われた、シンガポール向け第1回実証輸出で使用された。
今回実施されたシンガポール向けの輸出実証では、実際に国内3社の酒造元の日本酒製品を取りまとめる形で、輸入商社、料飲店、小売店等の販売ルートから、合計180本(酒造元3社合計)の実注文を受けて輸出が行われた。
構成としては、代替不可能なトークンの一種である「ThingsToken」を、コンソーシアム型のブロックチェーン上に発行し、IDを持つ温度検知QRコードラベル(日立ソリューションズ)を酒瓶に貼付。個品識別のアンカーポイントとして利用することで製品の個品識別を実現した。
また、連続的温度追跡については、コールドチェーンの各物流ポイントで温度検知QRコードラベルをスキャンすることで、温度情報と位置情報を取得した。これにより、個品単位での温度管理、位置情報の追跡を実現している。

さらに、日本ガイシの超薄型・小型リチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」によって、電力供給される温度ロガー機能をもつイノラックスジャパンのフレキシブルセンサータグと、グローバルな通信機能をもつ三菱倉庫の4Gロガーを併用することで、輸出梱包のケースや、パレットについて輸送中の温度データを取得する仕組みを構築した。

ブロックチェーン上の「ThingsToken」によって、個品単位での管理・追跡が可能となったことにより、製造段階から、流通、最終需要家到着までの個品のトレーサビリティが可能となった。
酒造元での製造を終え、酒造元より製品出荷される日本酒は、国内の輸送物流会社を経由し、日本国内の輸出者の倉庫へ入庫する。なお、実証では、倉庫入庫前に酒造元3社の製品をまとめて輸出梱包する作業も発生する。
その後、航空輸送あるいは海上輸送にて、仕向け地へ向け商品が送り出される。商品は輸入地で到着後、輸入者の倉庫へ運び込まれ、その後、流通ルート(料飲店等)を経て最終需要家で消費される。
実証においては、日本酒の各瓶へ個品ラベル(温度検知QRコードラベル)を張り付けることにより、ラベルを起点として、全流通行程を通じて製品トレースが可能である状態が実現できた。
製品の日本酒各瓶に張り付けられた温度検知QRコードラベルには、QRコードとともに、温度逸脱検知インクを使用した温度逸脱を検知するセンサとして、識別ポイント(黒丸)が印刷されている。
この識別ポイントは、製品温度が逸脱を検知したい温度(今回の場合は、摂氏20度および、摂氏30度のインクを使用)を超えた場合には色が赤く変化する(黒丸が赤丸へ色変化)。この機能により、流通の各段階で、目視での温度逸脱の検知を可能とした。

実証においては、酒瓶単位での温度検知QRコードラベルのスマートフォンによるスキャンでの温度と位置情報の取得、パッケージ単位でのフレキシブルセンサタグを設置することによる温度情報の取得により、多面的な角度での個品のトレーサビリティを実現できた。

今後は、シンガポールに引き続き、ニュージーランド、米国、英国について各国の実情に合わせたモデルで物流、商流の課題点を探り、酒造元、卸売業者、現地営業が連携するための情報基盤としてのアプリケーション開発を進めるとしている。
なお、「ThingsToken」は代替不可能なトークンの一種であり、現実資産(RWA:Real World Asset)をブロックチェーンのトークンとして記述可能にしたものである。
「ThingsToken」の実装系は各種想定され、現実証プロジェクトとしては閉域型で閉じたチェーン(コンソーシアムチェーン)上で展開されているが、最終的にはWeb3の普及による新しいインターネットの構成要素の一つとして、公開型で開かれたチェーン(パブリックブロックチェーン)上での展開を行う予定だとしている。
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