株式会社HashPortと日立製作所(以下、日立)は、生体認証技術を活用したWeb3ウォレットの社会実装に向け、協業すると発表した。
今回の協業により、HashPortが提供するWeb3ウォレット基盤Hash Walletに、日立の公開型生体認証基盤PBIを組み込むことで、ユーザは事前に設定した生体情報(顔認証)による本人確認が可能となる。
Hash Walletは、Web3アプリケーション組み込み型のウォレット基盤だ。Hash Wallet上で発行されたWeb3ウォレットのアカウントは、共通IDとして機能し、アカウントを都度発行することなく複数のWeb3ウォレットを利用できる。
加えて、Web3ウォレット基盤の提供のみでなく、事業企画・検討からシステム構築まで、事業展開に向けたサポートを行うサービスだ。
一方PBIは、生体認証と、安全なインターネット通信を実現する技術PKI(公開鍵暗号基盤)を組み合わせた、日立が開発した認証基盤技術だ。生体情報を認証する端末で本人のみが持つPBI秘密鍵をその都度作成し、対になるPBI公開鍵と照合する。
このPBI秘密鍵は、本人の生体情報以外では再作成できないため、他者によるなりすましはできない。また、PBI秘密鍵は認証や決済時のみに、生体情報を復元できない形に変換した上で作成・使用され、その後はすぐに破棄されるため、システム内に保存されない仕様となっている。
今回、Hash Walletに、日立の公開型生体認証基盤PBIを組み込むことで、Web3ウォレットを利用した暗号資産取引や、DID(※1)、NFT(※2)、SBT(※3)の利用におけるセキュリティとユーザーエクスペリエンスの向上が期待されている。なお、Web3ウォレットにPBIを組み込むための基盤には、日立の生体認証統合基盤サービスを活用している。
今後HashPortと日立は、NFTの利用やイベントや施設の入退場管理など、さまざまなシーンでPBIを適用したHash WalletによるWeb3ウォレット体験の提供を検討しているとのことだ。
※1:「Decentralized Identifier」の略。インターネット上での個人や組織の識別をセキュアかつ分散化する技術。
※2:「代替不可能なトークン(Non-Fungible Token)」の略。「トークン」とはブロックチェーンから発行される電子的な証明書のこと。
※3:「Soulbound Token」の略。ゲームやバーチャルワールドでの特定のアイテムやトークンのこと。
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