重要な経営資源である人材の確保・活用は、企業における重要課題の一つであり、より優秀で士気の高い人材を育成し、活躍してもらうことが企業経営の成否につながる。このため、企業にとっては適性のない後任者を選定することや、真にリテンション(自社に必要な人材を確保するための施策)が必要な社員を見逃すことを防ぐため、管理者等の判断に頼るだけでなく、人事管理データを分析して定量的な情報に基づいて判断を行うことが必要になってきている。
しかしながら、こうしたデータの集計や分析は人手によるものが大半のため、時間がかかり、データも充分に活用できていない等多くの課題がある。
NECソリューションイノベータ株式会社は、AIを活用し、人事関連業務における人材の適正配置やリテンションなどを支援するクラウドサービス「NEC HR Tech クラウド」の提供を開始した。
同サービスでは、まず、AIにモデルとなる社員の人事管理データをモデルデータとして学習させ、その企業の特徴を反映した学習モデルを作成した後、対象となる社員の人事管理データと学習モデルを使って分析し、業務適性などを数値化して提供する。これにより、従来行われてきた上長の経験や知見に依存した人材の配置や研修の投資判断といった人事関連業務の効率化を支援する。なお、これらの学習および分析は、個人が特定できない情報のみ用いて行う。
同サービスの特長は以下の通りである。
- 人材の適正配置を支援
社員の急な異動や離職などの際に、最適な後任の配置を支援する。具体的には、同等のポジションで活躍したモデル社員の人事管理データから作成した学習モデルを使用し、後任候補となる社員の保有スキルやキャリアプラン情報を分析することで、適性度を統計的に算出する。これにより、算出された適性度を、最適な人材配置にするための参考情報として利用することができる。 - 研修の効果判断を支援
人材育成のために、社員に最適な研修を選定する際の判断などを支援する。具体的には、対象の研修を受講したモデル社員の人事管理データから作成した学習モデルを使用し、対象社員の保有スキルや業績評価、過去の研修受講情報を分析することで、受講の効果を統計的に算出する。これにより、対象社員がその研修を受講することが知識/スキルの習得や業務への寄与につながるかの判断に役立てることができるようになるという。 - リテンションを支援
離職の可能性のある社員への効果的なフォローを支援する。具体的には、過去に離職した社員の人事管理データから作成した離職との相関を表す学習モデルを使用し、対象社員の保有スキルや業績評価情報、勤怠情報を分析することで、離職の可能性を統計的に算出する。これにより、算出した情報を参考に、離職の可能性のある社員を事前に察知し、効果的なフォローを検討できるようになる。
同サービスの利用料は、初期導入費は1社あたり10,000円(税別)、月額利用料は1社あたり1,000円(税別)、分析に要する費用は1社員1分析あたり100円(税別)である。
今後、サービス提供開始後3年間で、300社への導入を目指す。
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