政府は2019年10月消費税引き上げに伴い、「キャッシュレス決済に対するポイント還元制度」という施策を2020年6月まで行うとしている。
これは、対象店舗にてクレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォンによる決済などのキャシュレス決済で支払いをすると、最大5%のポイント還元が行われるというものだ。
それに伴い様々な企業がQRコード決済サービスを始め、QRコード決済を広めるべく様々なキャンペーンを打っているが、その一方でタッチレス決済という一歩先の技術を取り入れようという動きがある。
QRコード決済では何らかのアプリを開き、決済画面に行き、QRコードの表示、または読み取りを行うという工程を踏んで決済が完了する。
財布を持っていなくても決済できるというメリットはあるが、一連の工程が少々手間だと感じる。
また、電子マネーやクレジットカードではタッチをするだけだが、両手がふさがっている時や子連れの方などは、携帯や財布を取り出すという行為がなくなれば、より便利だと感じるだろう。
そこで今回は、タッチレス決済の現状について紹介したいと思う。
買い物をスムーズに
2019年12月5日NTTドコモとソニーは、おサイフケータイのタッチレス対応の実用化に向けた実証実験を2019年12月10日より開始することを発表した。

仕様はスマートフォンに搭載されているBluetoothや、距離技術の1つである障害物の影響の少ないUWBといった無線通信と、ソニーのキャッシュレス決済で使用されているFelica技術を組み合わせて実現していくという。
タッチレス決済の他にも車の開場・施錠をタッチレスで行なったり、デジタルサイネージから動作をせずにクーポンを受け取れるといった用途での実証実験を行うということで、決済にとどまらない可能性を感じる。
なおこの実験は、2020年1月23日・24日東京ビッグサイトにて開催される「DOCOMO Open House 2020」にて、一般公開されるとのことだ。
参考URL:ドコモ ホームページ
顔認証で行う決済
次に紹介するのは、顔認証でのタッチレス決済だ。すでに中国では杭州のKFCを始め、様々な店舗で顔認証決済が導入されだしている。
そしてこの流れは日本にも来ている。
NECは、顔認証決済サービス実用化に向けて、2019年3月から1ヶ月間、クレジットカードと連携した顔認証決済の実証実験を、社員向けの施設にて行った。

NECは「マルチサービスゲートウェイ」という、約30種類の決済サービスに対応するペイメントプラットフォームを2019年8月より開始している。
現在は各種電子マネー、クレジットカード、コード決済、共通ポイントなどのキャッシュレス決済に対応しているとのことだが、今後は対応範囲を顔認証決済などの他決済手段への拡大をしていくと発表しており、社内で行なった実証実験の結果を生かして実用化していく方針だと考えられる。
またNECは、「決済の利便性およびセキュリティ向上に貢献していく」としており、顔認証は顔の登録という、その他のキャッシュレスよりもよりセキュリティが問題視されるため、ここが解消されれば実際の導入に至るのではないだろうか。
[参考記事] 「顔認証」で買える杭州KFC、キャッシュレスの先にある購買行動NEC、クレジットカードと連動した顔認証決済サービスの実証実験を開始
NEC、多様なキャッシュレス決済に対応できるペイメントプラットフォームを提供開始
改札もタッチレスへ

JRは、「JR東日本グループ経営ビジョン変革2027」にて、改札のタッチレス化またはゲートレス化を目指すとしている。
そして2019年11月27日には、JR東日本がタッチレスゲートを2〜3年後に導入する方向だと共同通信社が発表している。
さらに同発表にて、来年には実際に導入に向けた実証実験が行われると発表されている。
[参考記事] JR東日本グループ経営ビジョン変革2027JR東、タッチレス改札導入へ
このように様々な形でキャッシュレスの先の、「タッチレス」へとシフトしようとする流れがすでに来ている。
導入されだしている現在のキャッシュレス機器が、またタッチレス機器へと交換されるのか、並行して導入されるのかなど、流れの速い時代の強みと弱みを今後も注目して見ていかなければならないと感じる。
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