現在、新型コロナウイルス感染防止に伴い、さまざまな舞台芸術活動が制限され、舞台観劇や日々の稽古など、オフラインからオンラインへ活動の場を移すさまざまな試みが進められている。
しかしながら、日本舞踊は音楽に合わせた「振り」や「間」の取り方が重要であり、遅延やコマ落ちが発生する従来のオンラインお稽古では日本舞踊の「振り」と「間」を正確に伝えることができず、指導に限界があるといった課題がある。
また、日本舞踊には「1対1で稽古する」という伝統があり、基本的に弟子は一度入門した師匠を変えず、長期にわたって同じ師匠に習い続ける。さらに、日本舞踊に関心があっても近くに指導者がいないため、お稽古を開始することが困難な場合がある。日本舞踊のさらなる発展に向けては、お稽古を開始する敷居を下げることや、転居などの生活環境の変化やアフターコロナと呼ばれる人々の新しい生活様式に対応する方法の検討が必要である。
KDDI株式会社と公益社団法人日本舞踊協会は連携して、2021年6月21日~2021年6月30日の間、KDDI DIGITAL GATEの5G環境と「AWS Wavelength」を活用したオンラインお稽古システムの実証実験を行い、低遅延かつ高画質で細かい動作の伝達が可能であることを確認した。
KDDI DIGITAL GATEは、デザイン思考をベースとしたワークショップやアジャイル開発チームによるプロトタイピングを通じて、顧客の潜在的な課題を発見するとともに、様々なテクノロジーを用いてそれら課題を解決するソリューションを設計し、構築・検証を迅速に実行することで顧客をサポートしている。
また、2020年度からは、文化財のデジタル化による保存と活用を推進するとともに文化・芸能関係とネットワークがある凸版印刷株式会社と連携し、日本舞踊が抱える課題の解決に取り組んできた。
同実証実験では、5GとAWS Wavelengthを用いた映像のリアルタイム通信により、手足の細部の動きまで表現することができ、オンライン上でも臨場感のあるお稽古を実施できるという。これにより、日本舞踊の「振り」と「間」をより正確に伝えることができる。
また、音楽を師匠・弟子側で同時再生できるアプリケーションを独自開発することで、各拠点で再生される音楽に合わせて踊ることができ、より遅延を感じないオンラインお稽古を可能とした。
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