飛島建設株式会社は、「令和2年度北勢BP坂部トンネル工事」を手掛けている。このトンネル工事は、トンネル直上に営業中のゴルフ場があることに加え、脆弱な未固結地山を最小土被り約3mで掘削する必要がある。そこで、ゴルフ場の営業に支障がないよう、地表部にGNSS(全球測位衛星システム)アンテナを埋設したGNSS地表面自動変位計測を採用し、安全性を確保しながら施工を行っている。
そうした中、KDDIスマートドローン株式会社、KDDI株式会社、飛島建設は共同で、飛島建設のトンネル工事において、自動でドローンの遠隔飛行や空撮映像のアップロードなどを行い、監視業務を自動化する検証を、2022年7月に実施した。
今回発表された検証では、KDDIおよびKDDIスマートドローンが提供する充電ポート付きドローン「G6.0&NEST」と、モバイル通信を活用した運航管理システムを組み合わせたソリューションを導入した。

3次元フライトルート設定によりドローン空撮を自動化し、自動充電機能・開閉式ハッチを備えたドローンポートにより、充電作業・機体のセッティング作業を省略した。また、4G LTE通信により、遠隔操縦・遠隔モニタリング・空撮データアップロードが可能だ。

取得した空撮映像・画像を、撮影した複数枚の写真から対象物の形状を3Dで再現する手法「SfM」により3Dモデリング化し、地表面変位計測を行うことで、地表面の沈下などの異常確認を行うことが可能となった。

これにより、自動でドローンを遠隔飛行させ、クラウドにアップロードされた空撮映像・画像を確認することで、ゴルフ場の地表面に異常がないかを監視する業務をドローンで自動化することができた。

また、地上部に設置する対空標識は、通常、ドローン測量毎に別途測量が必要となるが、今回の検証においては、地表面の変位計測に採用しているGNSS地表面自動変位計測の活用を試行した。

その結果、変位計測用のGNSSが対空標識として利用できる可能性が確認された。さらに、全自動ドローンによる計測結果とGNSSによる計測結果との融合が可能であることも確認されている。
今後は、今回の検証結果を踏まえ、飛島建設のトンネル工事において試験運用を実施する予定だ。また、非GNSS環境など、あらゆる条件下の建設工事現場におけるさらなるドローン活用へ向けて、開発を進めていくとしている。
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