従来の栽培方法で作物に水や肥料を供給する場合、タイマーなどを使用する場合が多く、潅水・施肥の量やそれらを供給するタイミングは、生産者自身が判断して設定を行う必要があり、栽培には経験とノウハウが必要だった。
KDDI株式会社は、宮城県東松島市野蒜地区で株式会社KDDIエボルバが運営する「幸 満つる 郷 KDDIエボルバ 野蒜 (のびる)」へ、IT活用による農作業の省力化および農産物の収量向上と味の向上を目的に、株式会社ルートレック・ネットワークスが提供するAI潅水施肥 (かんすいせひ)システム「ゼロアグリ」を導入した。
また、農産物の生育状態を遠隔から動画にて把握することを目的に、エコモット株式会社提供の屋外クラウド録画パッケージと、圃場内の温度状況に応じて日射量を自動調整することを目的に遮光カーテンを導入した。
ゼロアグリは、日射・土壌センサーで取得した情報を基に、作物の成長に合わせた必要な水の量をAIが算出・判断し、適切なタイミングで点滴チューブより自動で供給するシステムである。これにより、土壌は常に最適な水分状態が保持され、作物にとってストレスの少ない環境を実現することにより、潅水と施肥の作業時間を大幅に軽減し、従来の慣行栽培と比べ収量・品質の向上と省力化および水・肥料の削減につながる。
また、タブレットやスマートフォンでセンサーデータと水と液肥の供給量の情報共有が可能である。従来見えなかった栽培環境 (地下部) や、農家の技術を見える化することにより、栽培技術の向上を図る。
屋外クラウド録画パッケージでは、遠隔地からネットワークカメラの映像を通し、農産物の生育状態を動画で確認できる。パン・チルト、光学20倍ズーム機能搭載で360°の視野を実現し、遠隔地から操作することで、撮影する対象物が画角から外れたり遠く離れたりした場合でも、現地に行くことなくパソコン・スマートフォンから画角を調整し、鮮明に対象物を確認することが可能だ。
撮影された動画は、au 4G LTE回線を通じて「KDDI IoTクラウド Standard」に保存され、スマートフォンやパソコン、タブレットからリアルタイムの閲覧や、過去30日間の映像も確認できる。
なお、今回の農業IoTの導入は、宮城県東松島市、KDDI、株式会社KDDI総合研究所とKDDIエボルバが、2018年11月30日にSDGs未来都市(※)の推進による地域活性化を目的とした協定を締結した取り組みの一環である。
※ SDGsの理念に沿った基本的・総合的取組を推進しようとする都市・地域の中から、特に、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して、持続可能な開発を実現する潜在能力が高いと選定された都市・地域
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