農業における就業人口の減少と高齢化は社会的な課題となっており、営農ノウハウの可視化や栽培技術の継承など、日本の農業を守り、また発展させていく取り組みが必要である。また、農林水産省がカロリーベースの食料自給率37.17%(2020年)から45%(2030年)に高める目標を掲げている一方で、気候変動による収穫量の減少、生産現場でのフードロスの増加など、持続的・安定的な食料の供給のための課題がある。
農業事業者向けのデータ基盤、クラウド、計測IoTの開発とサービス提供を行うPLANT DATA株式会社と、トマト栽培を行う農業法人の有限会社アグリマインド、半導体、ネットワーク、サイバーセキュリティ、AI/IoTにおけるトータルサービス・ソリューションプロバイダーの株式会社マクニカは、2022年11月よりアグリマインドの農場にて、トマトの収穫量予測、従業員の労務管理、各種計測自動化などをトータルでサポートする「スマート農業プラットフォーム」の実証実験を開始した。
同実証実験では、ハウス内の環境情報に加え、光合成量、蒸散量など植物の代謝のリアルタイム計測や、クロロフィル蛍光や白色LEDの画像スキャン計測により植物の形質的な情報など、野菜の成長そのものを測定する生体情報を取得し、そのモデルデータを蓄積しAIの分析を行うことで、高精度な収量予測の実現を目指す。それにより、資源・エネルギーの投入コストの最適化や、収穫・出荷に伴う作業量の事前把握による適切な労務管理も可能となる。
同実証実験において、アグリマインドはスマート農業における現場の課題抽出や実装の場を提供し、PLANT DATAは今後必要となる、現場業務に落とし込むためのユースケースの具体化とそのための仕様のリファレンス化、ビッグデータの蓄積や共有、学習フェーズ・推論フェーズのAI実行環境の構築を進める。
また、マクニカは、PLANT DATAの各種センサーを用いて収集したデータをもとにAIモデルを作成し、PoCを行う。そしてその結果をもとにAIモデルを確立させ、ハウス環境のIoTによる制御システムを構築する。さらに、植物育成用LED、収穫用ロボティクス、ダッシュボードなど、AIにて解析したデータを実行するためのハードウェア・ソフトウェアを実装する。
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