LINEは「LINE BRAIN」事業戦略説明会を7月23日に都内にて開催した。
LINE BRAINは6月28日の「LINE CONFERENCE 2019」の中で発表された外部に展開する自社のAI技術群の総称だ。
LINE BRAIN技術の機能概要
過去にIoTNEWSにて取材や登壇していただいた砂金信一郎氏よりLINE BRAINの概要と主な機能であるチャットボット技術の「LINE BRAIN CHATBOT」、文字認識の「LINE BRAIN OCR」などについて説明が行われた。LINE BRAINでは競合他社では手薄になりがちなアジア圏で利用できるAI技術の開発に注力し、精度向上のためのチューニングなどをすべてユーザーに任せるのではなくそれぞれの利用用途に合わせたチューニングをLINEでも行っていくという。AIを開発するうえで問題となるデータに関してもLINEという大きなプラットフォームを所有している利点を生かしてAIを学習させるためのデータを集積していく。
CHATBOT
チャットボットとは簡単に説明するとユーザーからの質問に対して人間ではなくAIが何かしらの回答を行うものであり、ユーザーの質問の意図などを理解して回答を出すまでのルールを決める必要がある。
LINE BRAINが提供するチャットボットは大きく分けて3つの方法で回答を導くルールを記述することができる。それぞれ1問1答でFAQのような簡単な質問に答える場合、どのような会話になるかある程度形が決まっている場合、旅行のように場所や目的を聞いて最終的な回答にたどり着く場合のように用途に合わせて使い分けることができる。
FAQ1問1答ではディープラーニング技術が利用することで質問を10個程度登録しておくことで違う言い回しで質問が来てもある程度柔軟に回答が行えるようになっておりチャットボット導入で問題になりがちなQAデータ作成の手間が軽減されている。
チャットボットを利用するための入り口としてはLINEだけではなくFacebookやWebChatにも対応している。LINEが提供するサービスではあるがプラットフォームフリーでの利用を目指しているという。
チャットボットを作成、管理するためのGUIも準備されており、コードを1から記述して構築する必要がないため導入のハードルが低くなっている。
OCR
OCR技術は画像やPDFファイルの中にある文字の位置やテキストデータに変換してくれるものだ。書類でやり取りされる請求書などが決まったフォーマットでくる場合に自動でテキストに変換を行いデータ化することができる。
OCR機能にもGUIが準備されており書類のどこの部分をデータに変換したいかを指定することができるようになっている。一度値のとる場所を指定してしまえばあとは同じ場所の数値やテキストをデータとして取得をしてくれる。
LINE BRAIN提供ロードマップ
LINE BRAINのロードマップとして、2019年第3四半期にはチャットボットやOCRの実証実験を順次開始していく。第4四半期には音声認識、音声合成を提供し、2020年にはSaaS(Software as a Service)としてプロダクトを提供していくという。
提供料金は企業向けに技術サポートなども含めて3カ月で100万円~が予定されている。
AmazonやMicrosoft、Googleからも多くのAIサービスが提供されているが対応言語が英語のみ、ドキュメントが英語のみということも少なくなかった。その中で日本を主力とするLINEからAIサービスが提供されることで日本人にも利用しやすいAIサービスが提供されていくことが期待される。
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コンサルタント兼IoT/AIライター 人工知能エンジン事業の業務支援に従事するかたわら
一見わかりにくいAIの仕組みをわかりやすく説明するため研究中