パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社は、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)と共同で、月面探査ローバー向けの運転支援AIの試作に関する研究を開始する。
この研究では、JAXAが進める宇宙探査イノベーションハブにて行われた研究成果を基に、ステレオカメラを用いて月面探査ローバーの安全な移動を阻害する岩石やクレータを障害物として検知する機能を向上させることを目指す。
具体的には、シミュレータを使って大量の月面環境を模したCG画像を生成し、それに対して少量の月面の実撮影データを使用する。これをもとに、敵対的学習・半教師あり学習を行い、ドメイン適応を行うことで、少量の教師データでも精度を落とさない物体検出深層学習手法を試行している。
この研究開発により、低コストで高精度なAI開発が可能となり、地上でも教師データの入手が難しいという状況で、これまで普及が進んでいなかった事業領域にもAIシステムを適応できる可能性があるとのことだ。
![パナソニックとJAXA、月面探査ローバー向け運転支援AIの施策に関する共同研究を開始](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/bd1b91342f646f7878719f5f448a5d94.jpg)
月面を想定した環境認識技術の研究開発では、月面を再現した仮想環境の構築が重要な要素だ。そこで今回の研究開発では、NASAから公開されている月面南極域の3Dデータをゲーム開発エンジンUnityに取り入れ、アルテミス計画の探査ローバーの走行タスク想定地点を切り出し、横から差し込む太陽光を模擬した3Dシミュレーション環境を構築している。
なお、公開地形データは5m/pixelと分解能が低く、月面探査ローバーの移動の妨げとなる10m以下の小さなクレータや岩石の情報が欠落してしまっているため、文献を参考に仮想のクレータや岩石を障害物として配置しているとのことだ。
![パナソニックとJAXA、月面探査ローバー向け運転支援AIの施策に関する共同研究を開始](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/a598843e7453ba66e1398c5c134d45ed-3.jpg)
パナソニック アドバンストテクノロジーは、これまで車載商品開発におけるセンシング開発、モデルベース開発、シミュレーション開発を行っており、シミュレータ環境と実機・実環境の両方で評価可能な自動運転開発用共通PFを構築している。
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同社は今後も、さまざまな自律移動モビリティを実現するための技術確立に向け、性能改善やユースケースへの適応を続け、研究開発を推進していくとしている。
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