”コア技術”で、コネクテッドカーの一歩先を進み続ける
小泉: コネクテッドカーは日本に限らない分野でもあります。
北川: そうですね。とくに東南アジアには大きなマーケットがあると考えています。
小泉: トヨタなどが、コネクテッドが標準装備となった新型車を本格展開しようとされていますが、そういった動きについてはどのようにお考えでしょうか。
北川: すごくウェルカムです。実際に走らせないとデータはたまりませんから、私たちにはすでに走っている車にも後付けでつけられるというスピード感と、メーカーに縛られないオープンな立ち位置があります。
それまでは、どういうアルゴリズムで保険のリスクを算出するべきか、お客さんにどうフィードバックすると運転の仕方が変わるか、そういったことは結局、クルマがコネクテッドになって、データが取れてからしかわからないのです。
ただ、私たちはそれを5年前からやっています。ノウハウもたまってきているなかで、クルマメーカーからも既に相談を受けています。一部のクルマからデータを取っているが、「これはどう料理したらいいですか」と。
そういう場合には、そのクルマと弊社のクラウドをつないでもらって、さまざまに料理したものを返すなどしています。
あと、私たちはメーカー横断的にデータを活用できるというのがそもそもの立ち位置なので、たとえばトヨタさんからデータをもらったとしても、日産さんやホンダさんのデータも加味したアルゴリズムを使うことができます。
それは、クルマメーカー単体ではできません。ですから、彼らとしても、弊社のアルゴリズムを使った方がいいよね、という考えもあると思います。

小泉: 一方で、クルマメーカーからすると、自分たちでやらないと自分たちのノウハウがたまらないということもあります。ですから、当面は一緒にやっていきつつも、なんとなく市場が成熟してきたら、自分たちは自分たちでやりますとなるのかもしれません。でもその頃には、御社はもう別の領域に行っているわけですよね。
北川: そうですね。コネクテッドや自動運転の世界はどんどん広がってくれた方がいいと思っています。私たちで全部やる必要もありません。市場の進化を後押しできればいいと思っています。
囲い込もうという気もまったくないですし、技術的なラボの成果を隠しておこうという気もないです。どんどん出していって、他社でも活用してもらえればいいと思います。
小泉: 御社がやることで、市場が拡がりますよね。誰も何もしないと市場の拡がりが遅くなってしまいます。これからどんどん新しいサービスが出てきそうで、楽しみです。
北川: 自動運転やコネクテッドカーの世界観をつくるコアな技術を私たちが担っていきたいと思います。
さきほどご説明したルーティングやカメラの活用というのはそれに近いのです。人が運転しようがクルマが勝手に動こうが、どういうスケジュールでどういうルートを辿るべきか、というのは必ず必要になってくるので。まずはそのあたりですね。
本日は貴重なお話、ありがとうございました。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。