おもちゃクリエイター 高橋 晋平氏が人生を賭ける鳩時計『OQTA HATO(オクタ ハト)』があたたかい

企業:

あなたを思い出したら鳩が鳴く、鳩時計『OQTA HATO(オクタ ハト)』

おもちゃクリエイター 高橋 晋平氏が人生を賭ける鳩時計『OQTA HATO(オクタ ハト)』があたたかい
鳩時計『OQTA HATO(オクタ ハト)』

高橋: インターネットにつながる商品にも関わらせていただいており、今、非常に力を入れていてほぼほぼ人生を賭けている商品が、『OQTA HATO(オクタ ハト)』です。

鳩時計って、ご存知のとおり15時になったら3回鳴く時計ですが、これはスマホでボタンをタップすると鳴く鳩時計です。オクタというベンチャー企業に入らせていただいて作っています。

僕には奥さんと4歳と1歳の子ども2人がいて、自宅にこの『OQTA HATO』を置いています。このボタンをタップすると、何秒か後には自宅でポッポと鳴きます。そうするときっと今、家では子どもが「パパ、パパ」と言って、奥さんが「パパだね。パパは今日帰り遅いけど思い出してくれてるんだね」と言ってくれてると思います。

つまり、「あなたを思い出したら、この鳩が鳴く」という商品です。

小泉: なるほど、時間を知らせるわけではないのですね。

高橋:: 実際に鳴らしてみますが、タップするとWi-Fiを介してポッポと鳴く、仕組みはこれだけなんです。家族に「思い出したよ」ということを伝えます。LINEみたいな通信手段とは違う嬉しさがあります。

僕がなんでこんなに入れ込んでいるかというと、実は、自分の親との関係にあります。僕は、親と仲が悪いという長年の悩みがありました。お互い憎しみあってるわけではないのですが、うまく話せなくなりました。

そのことにしばらく悩んでいましたが、その気持ちを置き去りにして、お盆や正月に実家に帰っても孫と楽しんでもらって自分は逃げていました。電話をしても、わりと一生懸命話さないといけないし、ヘタするといざこざが起きて、言葉が邪魔をするんです。

でも、ポッポと鳩を鳴らすことはできます。

今、実家の親元に『OQTA HATO』を置いています。今鳴らしても、親は買い物に行ってるかもしれないので、ポッポを聞いているかわかりません。でも僕は「もし聞いてたら喜んでほしいな」と思って押しています。『OQTA HATO』は自分に必要だったので、自分が一番のユーザーとしてやっています。

『OQTA HATO』は情報を完全にとっぱらって、1秒ポッポと鳴くだけの仕組みにしました。こうすることでお互いの気持ちが下がらず、幸せの方向にプラスにしかなりません。情報の引き算によって、プラスにしかならないコミュニケーションを作っているんです。

今はSNSがあるので、SNSでいいじゃないかという話もありますが、LINEしても返事がない既読スルーや、SNS投稿してもいいねが少なくて凹む繊細な人も多いんです。

小泉: すごく共感できます。自分も口下手なので、人にありがとうと言うのが苦手だったり、世間話ができないこともあります。たとえば、社員の子たちは「社長があまり話しかけてくれない」と思っているかもしれません。別にそんなことは全然なくて、いろいろ思ったり考えたりしてるんだけど、「用もないのに話すと迷惑かな」と思っちゃうわけです。そんなときに、この鳩がポッポと鳴いてくれると、気にしてるよというサインだからいいですね。

『OQTA HATO』があると、全員のことが好きになる

おもちゃクリエイター 高橋 晋平氏が人生を賭ける鳩時計『OQTA HATO(オクタ ハト)』があたたかい
おもちゃクリエイター 高橋 晋平氏

高橋: 『OQTA HATO』はは、1台に対して何人かが押したときにさらに進化します。この実家の鳩は最初は僕だけが押していたのですが、今は僕と妹で押している状況です。そうすると、あるとき鳩が鳴いているとしたら、親はどっちが押したのかわかりませんよね。

最初僕だけが押していたときは、僕が押していることが確定します。僕は聞いてほしいから何回も押すんですね。そうすると、親は「私たちを励ますために何度も押しているのかもしれない」と気を使う可能性が出てきます。

それが僕か妹かわからない状態だと、だんだん適当に思えるようになってきて、「誰かが想っていてくれているんだ。嬉しいね」ぐらいになって幸福度が下がらないようになります。受け取る側がいいように解釈してくれるようになります。

小泉: 相手側の気持ちの問題ですよね。

高橋: そうなんです。たとえば、オフィスのデスクに置いて、家にいる奥さんと子どもにボタンを持たせた場合、鳴いたら「そろそろ帰ってきてほしい」ということなのかな?と嬉しくなるかもしれません。ただそれだと、帰れない時に鳴かれると嫌になってしまう可能性があります。

そこで、家族&チームメンバーでボタンを持つと、めちゃくちゃ面白くなるんです。鳩が鳴いても、誰が押したかわかりません。そうなると、都合のいい解釈がはじまります。もしかしたら、「家からかもしれないから早く切り上げて帰ろうかな」と思いたいときは切り上げることができるし、もしかしたら若手の女子かもしれないから、ちょっと嬉しくなってやる気が出たりするかもしれません。

つまり、全員のことが好きになっていきます。1秒の音を一方通行で送るだけなのですが、非常に不思議な鳩です。

小泉: 手で押さないといけないのがいいですよね。

高橋: 展示会にもよく出していますが、今僕が話したみたいなことを言うと、涙ぐんで刺さる人がいます。誰かを思い浮かべるというか。一番使いたいシーンとして多いのが親で、その次が奥さんで、購入を希望する人は男性が多いです。男性って誰かに迷惑かけてたり、ロマンチストだったりするじゃないですか。

小泉: そうですね。

おもちゃクリエイター 高橋 晋平氏が人生を賭ける鳩時計『OQTA HATO(オクタ ハト)』があたたかい
株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS 代表 小泉耕二

高橋: 『OQTA HATO』は意味合いをユーザーに丸投げしている、余白しかない商品です。今は、遊び方を自分で発明したり、自由な遊び方をしたりするのが楽しさとして受け入れられる時代なので、その余白の設計が必要です。

小泉: 余白の設計ですか。

高橋: はい。「やってみたぜ」という動画を紹介するのが楽しかったり。だからこの商品は、今の時代にあった商品だと思っています。

今までのコミュニケーションって送り手の方が主導権を持っていたと思いますが、SNSによって承認欲求を欲する時代になって、主導権を持つのが受け手の場合というのが多くなってきています。

この商品は送り手と受け手の立場を五分五分にすることに、徹底的にこだわりました。鳩が鳴らないときも、「もしかしたら出かけてる時に鳴ったかもしれない」と思うことができます。

小泉: 最初はクラウドファンディング – Makuake(マクアケ)でスタートしたそうですが、目標金額余裕で達成しているんですね。

高橋: はい。買った人のコメントも熱いです。「誰かのために使いたい」と、人によってはめちゃめちゃ必要なものになっています。

小泉: どの商品も、次の人に伝えたくなりますね。

高橋: 僕は基本的に「自分がお客だったら絶対買うモノ」しか作れないんです。すぐれたマーケターだったら、これぐらいのニーズがあるだろうと想像できるかもしれませんが、「僕だったらこれが存在したときに、この値段だったら買う」という理由が完全にできあがってるものを作ります。ゲームがそんなに得意ではない奥さんにやってもらえるゲームを作ることもありました。そうすると、「同じモノが欲しかった」という方がいるんです。

小泉: すごく共感できます。

次ページ:「IoTのモノを企画しようぜ」はナンセンス