「デジタル」はエネルギー問題を解決するのか、IoT基盤「EcoStruxure」が映し出すビジョン ―シュナイダーエレクトリック 日本統括代表 白幡晶彦氏インタビュー

世界のエネルギー問題、その対応策は2つ

小泉: いわゆる「エネルギー問題」はこれからどうなっていくのでしょうか。

白幡: これからの20年、世界のエネルギー需要は1.5倍に増え、二酸化炭素の排出は半分にする必要がある。従って、電力の使用効率は3倍に向上しなければならない、これがシュナイダーの見通しです。

具体的には、3つの観点があります。1つは、再生可能エネルギーです。ヨーロッパの「エネルギーシフト」はいま物凄い勢いで進んでいます。それは資金の集まり方にも如実に表れており、化石燃料で発電をするような企業に投資をしたくない、再生可能エネルギーに投資したいという投資家が増えている状況です。

2つめは、EVです。各国の政策によりEVがこれからどんどん増えていくでしょう。2030年までに50%がEVになるという見通しもあります。3つめは、2030年にはIT領域がエネルギー需要の最大の構成要素になるのではないか、という見方です。IoTやクラウドの利用拡大により、(その計算処理を行う)データセンターはますます巨大化していきますから。

小泉: IT分野の電力消費はとても大きいですよね。

白幡: そうですね。ですから、それを支えるインフラが必要になります。データセンターで電力をいちばん使う用途は「冷やすこと」であり、冷却設備をリアルタイムで制御し、効率を上げたりすることがきわめて重要になってきます。ITの分野は電力ビジネスという観点においても、大きな市場なのです。

デジタルはエネルギー問題を解決するのか、IoT基盤「EcoStruxure」が映し出すビジョン ―シュナイダーエレクトリック 日本統括代表 白幡晶彦氏インタビュー
株式会社アールジーン代表取締役/IoTNEWS代表 小泉耕二

小泉: エネルギー問題の解決には何が重要になってきますか。

白幡: 「デジタルトランスフォーメーション」と「エネルギー分散化」です。分散型電源の活用が今後拡大していく中で、デジタイゼーションを駆使していかにエネルギー効率を高められるかということが重要なのです。

従来は、原子力や化石燃料をベースとした大きな発電システムを使い、上流で蛇口をひねると水が下流に流れるように、電気を使っていました。そのため、電力ロスはあちこちに生じていましたし、電気はそもそも貯蔵することはできない性質のものでした。

それが、今後はおそらく町中に太陽光パネルがあり、ビル、住宅、畑の隙間、工場、ショッピングモールなどのあらゆる場所に発電設備が置かれる社会になるでしょう。その際、電気を貯蔵するバッテリーが重要になってきますが、それはテクノロジーの進化と価格の下落によって、“電気の貯蔵池”があちこちにできるようになると思います。

そうすると、今後は分散化した電源を網の目のようにメッシュで結んだグリッドが必要になってきます。そのようなスマートグリッドを実現し、3倍の電源効率を達成していくためにカギとなるのがデジタル技術であり、シュナイダーが「Digitizing and Powering」によってまさにやろうとしていることです。

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