【後編】「ものづくり白書」を読もう —変革の手がかりは細部に宿る

第1章-2節の要点②:人材不足の対策と品質管理

現場力の維持には「デジタル人材」が必要です。人材確保の方法としては、社内で育てるか、新たに雇うかの2通りがあります。アンケート調査によると、足下の対策としては「中途採用による確保」が最も多いです(本文p.99)。中長期的には社内育成を検討している企業が多いようですが、その際には「社内に教える人材がいない(社外にも少ない)」、「社外研修を受けさせる時間的余裕がない」という課題が見えてきます。

こうした人材確保の問題を解決する取り組みとして、ダイキン工業と大阪大学の事例が紹介されています(本文p.100)。ダイキン工業は大阪大学と連携契約を結び、AI人材を育成する社内講座「ダイキン情報技術大学」を開講しました。2020年までに約1,000名の社員を大学情報学修士レベルに再教育することを目標に、毎年社員の中から40~50名を選抜し、教育を行うといいます。大学のリソースを活用しながら、集中して人材育成をはかろうという狙いがあります。

さきほど、アンケートの結果から、「製造業の現場力の強み」の2番目は「品質管理」であると紹介しました。ただ、一方で昨今の度重なる「品質不正」の問題から、課題意識を持っている企業も多いことも調査からわかっています(本文p.32)。経産省の住田氏は次のように話しています。

「品質管理はきわめて重要なテーマだと考えています。人材不足のあおりを最も受けやすいのは品質管理です。国内の工場で人員の余裕がなく、品質管理工程の人手を確保するために、海外に工場を展開した企業もあると聞きます。人材的余裕がないとどうしてもヒューマンエラーが発生します。解決の糸口は二つあると考えています。経営主導によるガバナンス強化とデジタル技術を活用した『うそのつけないしくみ』の構築です」(住田氏)

経営主導によるガバナンス強化については、建設機械メーカーのコマツなどの事例が紹介されています(本文p.120)。また、「うそをつけないしくみ」のカギは、第3節のテーマである「Connected Industries」の推進にあります(具体例として、白書では検査工程の自動化に取り組む株式会社ヒロテックなどの取り組みが紹介されています)。

次ページ:第1章-3節の要点①:「Connected Industries」とは何か

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