フレキシブルな製造ラインは誰でも作れるのか
天野: 実は、こういった、ロボットの動きをシミュレートし、工場全体の動きをシミュレートするための、デジタルのソフトウェアなどは存在するのですが、かなり高額です。1つあたり1千数百万かかるし、4〜5種類のソフトウェアを組み合わせる必要があります。日本のエンジニアの中で、一人で4〜5種類全部書ける人はまだほぼいないのではないかと思います。
シミュレーションができるように、人材のトレーニングをやるとしても、一人のエンジニアにそこまで高価なソフトウェアを与えて鍛えていく、ということは、なかなか難しいと思います。
小泉: シミュレーションは実際には具体的にどういうことをするのでしょうか。
FAプロダクツ 高見氏(以下、高見): ロボットのプログラムは、「こう動け」ということを、別のコントローラーで教え込ませます。さらに、それをシミューレートしなければいけないので、ロボットの知識だけでも、シミュレーションの知識だけでも、製造現場のシミュレーションは出来ません。

天野: 生産能力の成立性検証も含めて作っていかなくてはならないので、ロボトや自動化設備の動きをシミュレーションできる「プロセスシュミレーター」だけあれば、バーチャル空間上で工場を動かすことはできるのですが、これでは単純にロボットをぶつからないようにできるかを検証する、ということをシミュレートするだけで、生産性の成立検証とは別物となります。

IoTNEWS 八子(以下、八子): (先日の発表(※)で、この辺りに関してISIDとパッケージソリューションを作っていくということですが)、「ソフトウェアは用途に応じて様々あるけれども、組み合わせて作れますよ」ということをあらかじめ価格体系も含めてパッケージで提案できるような形にするのでしょうか。
※FAプロダクツとISIDが資本・業務提携、デジタルツイン活用した生産ライン構築を支援するパッケージを共同開発
(https://iotnews.jp/archives/119955)
天野: 工場の全てを設計していく場合は大規模なライン造作になります。これほど全てをやらなくても、もう少し段階的に構築していくこともできます。「工場内の2ラインを1ラインにしたい」「今あるものを少し能力増強したい」、という限定的なご要望にも、もちろん対応します。
ただ、全体最適を考えた上で、マーケットに対して最も適合したラインをご提案していく、というスタイルは、工場全体の提案であっても、ライン増強の提案であっても変わりません。
後編は、具体的なシミュレーションの実態を説明いただいた。「工場シミュレーションのケーススタディ ―FAプロダクツ 天野氏インタビュー後編」
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。