デジタル社会に必要な「オープン&クローズ戦略」
最後は「オープン&クローズ戦略研究分科会」の日立製作所・堀水修氏より報告があった。
「オープン&クローズ戦略」とは、自社のもつ独自技術をコアなものとそうでないものに分け、前者は秘匿化・占有化(クローズ)する一方で、後者については他社に公開(オープン)する戦略のこと。
これからのデジタル社会では、多くの企業が協業しながら産業全体を一体となって発展させていく「ビジネス・エコシステム」を設計する必要がある。「オープン&クローズ戦略」はその設計を進める上で、各企業にとって重要な戦略だといえる。
報告者の日立製作所・堀水修氏は、この「オープン&クローズ戦略」の概要を説明しながら、先行事例として中国におけるダイキンの例を挙げた。
ダイキンは2008年9月に中国で行われたインバータ機の足きり基準引き上げにより、中国でのインバータ機の売上高が落ちた。そこで中国企業の「格力電器」と共同で政府に働きかけを行い、自社の技術開発状況や見通しに関する情報を欧州委員会に提供しながら同社にとって有利なエコ政策形成を実現し、インバータ機の売り上げを回復させた。
4つの分科会からの報告が終わった後に、IVIの理事長である法政大学デザイン工学部教授・西岡靖之氏より締めの挨拶が行われた。
西岡理事長は「今回の講演でつながるがキーワードとして何度も出たように、複数の企業が手を取り合って業務シナリオを作り、実証・実装だけでなく運用まで達することが重要だ。」と述べて、今回の講演を締めくくった。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。