富士通研究所のAI技術「Wide Learning」、アクションプランを提案する新技術を追加

近年、様々な業務にAIを活用して効率化を図る事例が増加している。例えば、商品を購入する可能性の高い顧客の予測や、製造ラインでの不良品発生の予測などでAI活用が進んでいる。今後は、予測された顧客層や製造装置の状態などに対して、実際に購入につながる可能性が高いアクションや不良品を減らすためのアクションをAIが適切に提案することで、売上の伸長や安定した生産などに貢献することが期待されている。

また、マーケティング分野の顧客へのプロモーションを例とした場合、一般的な従来のやり方として、データ項目(顧客の属性、過去の行動履歴、アクションの実施履歴)の組み合わせを使って過去のデータを分析する。アクションプランを決める際には、購入率が高く顧客数が多いセグメント(顧客の属性、過去の行動履歴のデータ項目からなる組み合わせ)に対して、購入につながると思われるアクションを推定している。

ただし、通常、マーケティングには50種類以上のセグメントに関わるデータ項目があるといわれており、その組み合わせは1,000兆通り以上(注3)となる。従来は、その中から数十個のセグメントを選別した上で、それぞれのセグメントに対し有効なアクションを推定するに留まっている。

今後は、最小限のアクションで、より多くの顧客に対し購入率が高まるような最も効率的なデータ項目の組み合わせを見つけることで、有効なマーケティング施策を行うことが必要である。

そんな中、株式会社富士通研究所では、富士通株式会社のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」の中核技術として、大量のデータを取得できない場合でも、データ項目のすべての組み合わせに対して重要度の高い組み合わせを算出できるAI技術「Wide Learning(ワイドラーニング)」を2018年に開発している。

そして今回、富士通研究所はWide Learningを拡張し、アクションプランを提案するAI技術を開発した。

同技術では、Wide Learningの従来の機能で大量に算出された重要度の高い組み合わせを比較して、その組み合わせに該当する数が多く、影響が大きいデータ項目を抽出し、再度組み合わせていく。例えばマーケティングでは、算出された数百個から数万個におよぶ複数の購入率の高い組み合わせを比較し、購入率を下げることなく該当人数が増加するデータ項目の組み合わせを見つける。

これを繰り返すことで、最も該当人数と購入見込み率が高い数個に絞られた組み合わせを見つけ、セグメントとアクションを特定することができる。

また、データ項目の組み合わせを絞り込んでいく際に、「購入者の割合」、「該当者の数」、「抽出するアクションの数」など、それぞれ条件に優先度を付加することができる。これにより、ボリュームゾーンやニッチを狙うといった現場のターゲティングの目的に沿ったアクションの抽出が可能となる。

同技術により、重要な顧客を判断するだけでなく、マーケティング施策までも自動で決定することが可能になるため、マーケティング業務の自動化が期待される。また、マーケティング分野以外にも、製造現場での不良品を減らすための機械の自動制御や、金融分野における債務不履行を防ぐための借入限度額の自動設定、ヘルスケアでは健康を維持するための運動や食事の提案など、様々な業務でのアクション決定の自動化を促進する。

富士通研究所は今後、2019年度中に同技術を用いて、富士通が主催するイベントの案内や製品・サービスの情報提供を自動決定し、顧客にとって重要な情報の発信を行っていく。また、2020年度にインターネットでの広告配信を行う「FUJITSU Intelligent Data Service AD Drive 運用型マーケティングサービス」での活用を目指す。

なお、富士通のマーケティングにおいて、従来より使用しているマーケティングオートメーションツール(※)内の匿名化データ(属性21項目、行動履歴49項目、アクション14項目)を使用し、購入確度の高い顧客を増やすアクションを抽出する実験を実施した。

その結果、マーケティングの専門家が人手でデータ分析を行った場合に、14個のセグメントで顧客の17%をカバー、購入見込み率が平均55%となる複数のアクションを抽出したのに対して、同技術では3個のセグメントで顧客の47%をカバー、購入見込み率が平均92%となる複数のアクションを抽出できることを確認した。

※ 見込み顧客の属性やイベント参加、Webのアクセスログなどのデータを一元管理し、メール配信などのマーケティング施策を実行するツール。

プレスリリース提供:富士通研究所

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