中外製薬とNTTデータ、AI技術を活用した治験関連文書の作成効率化ソリューションの実証実験を完了

新薬開発は、研究、治験での臨床データの収集・解析、有効性と安全性の評価などのプロセスを経て平均で9~17年程度かかり、治験に関わる業務やデータの品質確保のため、製薬企業と治験実施医療機関の双方で多くの労力が費やされている。また、高品質で効率的な治験関連文書の作成は、製薬企業共通の課題となっている。

中外製薬株式会社と株式会社NTTデータは、AI技術を活用した治験関連文書の作成効率化ソリューションの実証実験を2020年1月から6月に実施した。

同ソリューションは、治験実施計画書(※1)から治験関連文書を作成するなど、文書作成に係るプロセスの効率化を目指してNTTデータが開発を進めており、治験実施計画書をインプット情報として様々な治験関連文書(患者用の同意説明文書、統計解析計画書、患者の治験データを入力する症例報告書、治験結果をまとめた総括報告書等)をAI技術やオントロジー(※2)/セマンティック(※3)等の技術要素を用いて連鎖的・網羅的に生成できるようにする。

今回の実証実験では、臨床開発業務において必要とされる各治験関連文書を連鎖的に自動生成するコンセプトの有用性の検証とそれを実現する技術要素についての評価を行った。具体的には、中外製薬の治験実施計画書をインプットとし、同ソリューションのプロトタイプを用いて「同意説明文書」および「症例報告書(blank)」作成業務に要した時間と、過去同業務の実績を比較した。

その結果、削減効果率は、「同意説明文書」で平均61%、「症例報告書(blank)」で平均40%を実現し、両文書ともに自動生成すべき部分の大部分を生成可能なことを確認でき、自動生成が難しいと予想される部分については想定通り削減効果率は低かった。症例報告書(blank)では自動生成後に症例報告書に適した形にするためのマニュアル作業が発生し、削減効果率低下の一因となった。

今後、NTTデータは今回検証された技術要素を活用して、治験関連文書の対象拡大や標準化テンプレートの提供、AIによるサジェスト機能(※4)、マルチ言語対応などの機能を同ソリューションへ順次実装していく計画としている。そして、同実証実験の結果を踏まえて2021年度中に同ソリューションの商用サービス提供を目指す。

※1 治験実施計画書:治験の目的や実施方法など、治験実施の際に順守すべき要件を記載した文書。
※2 オントロジー:人が持つ知識を、概念体系として整理し、データモデル化したもので、関連を定義したり、ナレッジを拡張したりすることを可能にする技術。
※3 セマンティック:データにメタデータの関係(主語・述語・目的語)をひもづけ、意味を持つデータとしたもので、モノとモノとの関連を表現するのに適したデータの持ち方を指す。
※4 サジェスト機能:検索した文字列に関連の深い語句を逐次予測して表示する機能。

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