富士通と三菱食品、売買に関わる照合業務を効率化するAIを共同開発

食品流通業界では多数の取引先と膨大な数の取引データのやり取りが必要で、その取引データは取引先ごとに異なり標準化されておらず、伝票番号などの一意な情報で結び付けられない場合がある。そのため、長年の間、手作業での照合による人手不足や人的ミスなどが課題となっていた。

そうした状況の中、三菱食品株式会社はデジタル技術を活用した業務改革の一環として、財務経理業務職員の作業時間削減に取り組んでおり、富士通株式会社と共に照合手作業を効率化するAIの開発を進めている。

照合業務のうち、まずは買掛照合業務へのAI適用に2019年2月から着手し、2020年6月より買掛照合業務を効率化するAIを本稼働させており、月に2,000時間以上かかっていた照合手作業時間のうち既に数百時間の削減効果がでている。

そしてこのほど、両社は売掛照合業務を効率化するAI(以下、売掛照合AI)を共同で開発し、パイロット運用を11月16日より開始した。

売掛照合業務とは、自社請求電子データと得意先支払電子データを照合する業務のことで、両データを伝票番号などの一意な情報で結び付けられない場合があり、これまで三菱食品の財務経理業務職員が月に1,000時間以上かけて手作業で照合を行っていた。

今回両社は、こうした照合手作業を効率化すべく6百万件に及ぶ取引データを分析し、現場の意見を取り入れながら検証と改善を2020年3月から繰り返した。その結果、財務経理業務職員の暗黙知を抽出し過去の照合実績データを学習することで、照合結果を提示する売掛照合AIの開発に成功した。

売掛照合AIでは、明細照合ルールといった財務経理業務職員の暗黙知を抽出し、過去の照合実績データを学習することで自社請求電子データと得意先支払電子データの照合を行う。

自社請求電子データと得意先支払電子データは伝票番号といった一意な情報で結び付けられない場合があるため、現行の財務経理システムでは全てを照合できず、財務経理業務職員は各得意先に応じた明細照合ルールを用いて明細照合を実施する必要がある。売掛照合AIは、得意先ごとの明細照合ルールを抽出し、これを自動化する。

また、AIがどのような照合ルールで明細照合したかによって、照合正解確度を設定する。確度の高い組み合わせは自動で消込を行い、確度の低い組み合わせは担当者が確認の上で消込を行うという手法を取ることで、正確性と高速性を実現する。確度の低い組み合わせの場合は、確認必要箇所を提示することで従来以上の照合精度を実現する。これにより、月に1,000時間以上かかっていた作業のうち数百時間を削減できる見込みとしている。

さらに、売掛照合AI向けに作成したAIモデルは、一般的なインプットからアウトプットまでがブラックボックス化するAIモデルとは異なり、複数の小さなAIモデルとロジックを組み合わせたAIハイブリッドモデルとなっている。そのため、どのような過程で得意先支払電子データと自社請求電子データを照合しているかといった説明性の担保や、精度が下がった場合に照合過程のどこに問題があるかといった原因調査が容易であり、保守性に優れている。

売掛照合AIを財務経理業務職員が活用することで、月に1,000時間以上かけていた手作業の照合時間のうち数百時間を削減することができる見込みです。また、経験の浅い財務経理業務職員でも、照合誤りなどの人的ミスの削減が可能です。

今後両社は、2021年4月に売掛照合AIの本稼働を計画している。また買掛照合業務・売掛照合業務と並行して、資金収支業務・入金チェック業務へのAI活用に取り組んでおり、今後、未収消込業務への展開も検討中としている。

プレスリリース提供:富士通

Previous

NTT東日本と帯広畜産大学、持続可能なスマート農畜産業モデルの実現に向けた連携協定を締結

IIJが5G SA方式対応のeSIMを開発、フルMVNO・ローカル5Gサービスに必要となる要素技術を確立

Next