東京電力HD・ブルーイノベーションなど、送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影するシステムを開発

東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東京電力PG)が保有する地上の送電線は28,391km(全国では151,862km)あり、点検作業は主に高倍率スコープ・ヘリコプターなどを用いて目視で行っている。目視 点検は膨大な作業時間と作業員の高い技能に支えられており、少子高齢化にともなう将来的な作業員の不足、設備の高経年化による点検数増加への対応などが課題である。

今までも、点検作業の効率化やコスト低減を目指し、ドローンの自動飛行による点検が検討されてきたが、ドローンは送電線に近づくと、電線から生じる磁界の影響により方角を正しく認識できなくなり機体の制御が不安定になるほか、電流値・気温・風などの影響により電線の形状が変化するため、電線の形状をあらかじめ予測して電線に沿った飛行ルートを事前設定することが難しいなどの課題があった。

東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力HD)、ブルーイノベーション株式会社、株式会社テプコシステムズの3社は「送電線点検用ドローン自動飛行システム」を開発し、東京電力PGは、同社が保有する送電線の点検業務に同システムを2021年6月より導入する。

同システムは、ブルーイノベーションが開発したBlue Earth Platform(※)をベースに、テプコシステムズ、東京電力HDの3社が共同開発したものである。一般的なドローンにも搭載可能な対象物検知センサーで送電線を検知し、カメラを搭載したドローンが自動飛行しながら最適な画角で送電線の異常(例:腐食、劣化など)などを撮影することで、点検作業の効率化とコスト低減を可能にした。

同システムに搭載されている対象物検知センサーは、画像解析による送電線の検知とは異なり、逆光や影、類似する構造物の影響を受けずに送電線を検知できる。鉄塔間距離365mの実証実験でも、画角を外さずに送電線と平行に飛行・撮影できることが実証されている。

また、専用アプリケーション上のワンクリックでドローンの離発着および送電線撮影を自動で行うほか、自動飛行のため、作業員はドローンを手動操縦する必要がなく、ドローンからリアルタイムに送られてくる送電線の映像確認に集中できる。気になる箇所があれば、その場でドローンを一時停止させ、カメラをズームして送電線の状況を詳細に確認することができる。

東京電力HD・ブルーイノベーションなど、送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影するシステムを開発
システム運用画面
東京電力HD・ブルーイノベーションなど、送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影するシステムを開発
ドローンによる撮影映像

※ Blue Earth Platform:複数のドローンやロボットと、それらに搭載したセンサーやカメラを同時に制御・管理することで、複数のドローンやロボットに任意の業務を自動遂行させることができるプラットフォーム。複数のセンサーを組み合わせた技術により、ドローンやロボットが最適な自己位置を自ら推定し自律移動するほか、送電線のような対象物の検知、さらに地図や移動ログ、映像など収集したデータのAI解析などにより、点検や警備、物流など様々なソリューションに必要な情報を取得・提供する。