近年、製造業では、少子高齢化や生産年齢人口減少による労働力不足、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大により、ロボットを活用した現場の自動化のニーズが急激に高まっている。また、変化する市場に迅速に対応し、新たな価値を創出するため、先進のテクノロジーを活用したDXの動きも加速している。
株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立産機システム(以下、日立産機)は、産業用ロボットを活用したラインビルディング事業(以下、ロボティクスSI事業)のグローバル展開を加速しており、このほど日本およびASEANにおける事業強化に向けてグループ内の事業・リソースを再編・集約し、2022年4月1日付で「株式会社日立オートメーション」を発足することを発表した。
具体的には、日立の子会社である日立産機の各種製造業向け組立・搬送ラインのロボティクスSI事業を、会社分割により、日立産機の子会社で自動車を中心としたロボティクスSI事業を手掛ける株式会社ケーイーシーに移管するとともに、ケーイーシーの株式を日立産機から日立の産業・流通ビジネスユニットに移管し、同時に商号を変更するものである。
日立のインダストリーセクターでは、ここ数年にわたり、日立産機がケーイーシーを、日立の産業・流通ビジネスユニットがJRオートメーションとKyoto Robotics株式会社を買収することでロボティクスSI事業を強化してきた。そして今回の事業再編により、ロボティクスSI事業を日立の産業・流通ビジネスユニットに集約することで、JRオートメーションと連携したフルターンキーによる提供能力を拡充するとともに、デジタル技術を融合したソリューションの提案を実現するとした。
今回の事業再編・集約の詳しい目的は以下のとおり。
- ケーイーシーと日立産機のロボティクスSIの技術力・ノウハウ・顧客基盤といったリソースの集約やフロントエンジニアリング機能の拡充による事業基盤強化。
- 様々な業界およびラインのロボティクスSIに知見・強みを持ち、米国・欧州・ASEANにおいて上流の提案から設計、製造、構築までのラインビルディングをフルターンキーで提供しているJRオートメーションと連携することによる、日本およびASEANでのラインビルディングのフルターンキー提供能力の拡充。
- 日立オートメーションを日立の産業・流通ビジネスユニットの傘下に置くことで、同ビジネスユニットが手掛けているLumadaを活用しデータの分析・最適化を行うデジタルソリューションと、膨大な現場データが集まるロボティクスSIの融合を加速する。これにより、インテリジェント化する製造現場から経営までをデジタルでつなぎ全体最適化を図る「トータルシームレスソリューション」を提供し、企業のさらなる価値向上を図る。
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