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トレーサビリティを実現するために重要な役割を果たすコード検証機 ―オムロン 荒木氏インタビュー

本記事は、オムロン株式会社の協力のもと制作しております。

オムロンは、バーコードや2次元コードの印字品質を検査するコード検証機の提供を行っている。

本稿では、コード検証機の概要や、必要とされるようになった背景、そしてコード検証機がどのような価値を生み出しているかについて、オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部 トレーサビリティPMG 荒木恒彦氏にお話を伺った。

バーコードの活用範囲拡大に伴い、求められる印字品質

バーコードが日本で活用され出したのは1980年代頃、小売業を中心に普及し、商品の流通や販売時に、商品の分類や認識をするために活用されてきた。

そのため、紙やラベルに印字されているもの、というイメージが強いかもしれないが、最近では、金属などに直接彫り込んで印字されるケースも増えてきた。

印字される対象物としては、製造業の部品や医療機器などで、この場合バーコードに求められる役割も少し変化している。

例えば、偽造品の流通を防止したり、一つの製品を作る際のサプライチェーン間で移動する部品のトレーサビリティを行ったり、リコールが出た際の影響範囲の特定を行ったりといったことだ。

こうした活用シーンでは、誰がどのようなコードリーダを活用しても読み取れる必要がある。そのため、コードが「規格に準じていること」「生産時に印字品質が高品質になっていること」を確認することが重要なポイントだ。

バーコードの規格は国際標準化機関であるISOが規定しており、寸法や光の反射、黒と白のコントラストなど、様々な基準が定められている。

この定められた基準を満たしているのか、満たしていないのであればどこを改善する必要があるのかを判断するのが、コード検証機だ。

トレーサビリティを実現するために重要な役割を果たすコード検証機 ―オムロン 荒木氏インタビュー
コード検証機でコードを読み取っているイメージ。コードを読み取ると、総合判定結果と各パラメータの評価がパソコンに表示される。

コードで安全を担保していくための対応

では、オムロンのコード検証機は、実際にどのような場面で活用されているのだろうか。コード検証機が使われている代表的な2つの業界での活用事例について伺った。

医療業界

オムロンでは、欧米医薬品業界を中心にコード検証機をいち早く開発し、医薬品業界に貢献してきた。

医療業界(医療品業界・医療機器業界)では、バーコードが担う役割に重要な2つの変化が起こっている。

1つは、医薬品業界における「偽造品の混入防止」という役割だ。これを実現するため、ランダムなシリアルナンバーが国際的な印字規格GS1コードとして製品に印字され、サプライチェーンでの真偽判定に活用されている。

もう1つは、医療機器業界における、「医療現場の安全性の確保」や、「流通の効率化を図る」という役割だ。こうした機器管理を行うために、製品にユニークな識別情報(UDI)がGS1コードとして印字され、サプライチェーンや病院にて活用されている。

上記2つの役割は、欧米を中心に各国に広がっており、いずれもGS1コードの印字と、ISO印字規格での品質基準の確保が法令化されている。

そしてオムロンでは、ISOの印字規格に準拠したコード検証機を提供しており、多くの医療業界の製造工程で活用されているのだ。

トレーサビリティを実現するために重要な役割を果たすコード検証機 ―オムロン 荒木氏インタビュー
オムロンが提供しているコード検証機「LVSシリーズ」。ポータブル型の2製品はハンディタイプで、「LVS-9580」が紙・ラベル用、「LVS-9585」がDPMという金属などに直接彫り込んでいるコードを検証するタイプ。デスクトップ型の製品は据え置き型タイプで、ポータブル型の2製品よりも読み取り部分が広い。そのため、多くのコードが印字されているものでも、同時に読み込むことができる。

荒木氏は、「コードの規格は時代の流れと共に常に変化しています。特に医薬品や医療機器は命に関わる製品ですので、トレーサビリティへの強化は加速しています。」と述べる。

例えばUDIでは、手術用のメスなど、減菌や洗浄をして繰り返し使用される医療器具には、直接コードを印字するダイレクトマーキングが必須となっており、グローバルで順次行われる。

また、日本においては、医療用医薬品のバーコード表示の実施要項に一部改正があり、包装単位においてこれまで任意表示とされていた項目に関しても、2022年12月以降原則として必須表示となる項目が拡大している。

トレーサビリティを実現するために重要な役割を果たすコード検証機 ―オムロン 荒木氏インタビュー
左: 薬の外装箱やパッケージだけでなく、シートにもコードが印字されているイメージ。 右: 手術用のメス等繰り返し使用される器具に直接コードが印字されているイメージ。

こうした変化にも対応するべく、規格団体との情報交換や、海外の規格開発メンバーとも連携をしながら製品開発に取り組んでいるのだという。

自動車業界

次に、自動車業界での活用事例について紹介する。

自動車の製造工程は、数万点にもおよぶ部品が幅広いサプライチェーンを経て完成品が出来上がるため、サプライヤーは各部品にコードを印字し、サプライチェーン全体で管理するという流れが生まれている。

こうしたトレーサビリティを実現するためには、基盤やエンジン、様々な形状の部品に印字品質が保証されたコードを印字し、それを各サプライチェーンの全てにおいて、確実に読み取ることが必要とされる。

そこで、オムロンのコード検証機が活用されているのだ。

また、オムロンのコード検証機は、判定された結果を外部出力する機能があり、検証結果を印刷したり、クラウドにレポートしたりすることで、エビデンスとして残すことが可能だ。

トレーサビリティを実現するために重要な役割を果たすコード検証機 ―オムロン 荒木氏インタビュー
目視確認用に出力されたHTML形式のレポート。

これにより、取引先に部品を納品した後での印字品質に対するクレーム対応や、自社の印字品質のモニタリングに活用することができる。

変化やニーズに対応する今後の展開

今後は、EV化が加速することにより、グローバルに自動車部品が流通するようになる。そうした際に、国際的な規格を、どの国でも読み取れる印字品質の担保が求められるようになると荒木氏は語る。

自動車の部品は前述した通り、様々な素材、形状、サイズのものがある。そうした多様な対象物に対しても国際的な印字品質が求められるため、コード検証機の重要性はさらに増していくという。

また、こうした流れは医療業界や自動車業界のみならず、日用品や半導体を筆頭に、様々な業界で加速している。

そこで、新たに取り入れるユーザの導入障壁を減らすための構想も考えられている。

例えば、コードを印字するプリンタの中に検証機能を入れ込むことで、コードが印字されると同時に検証を行えたり、製造ラインの中にコード検証を行うラインを組み込み、自動で検証を行ったり、というインライン化だ。

通常コード検証は人手により製品をランダムに抜き取って行われるが、インライン化することにより、全ての製品の印字検査を自動で行うことができる。

ハンディタイプの検証機に関しても、より簡単に幅広いシーンでの利用を実現するため、操作性の改善などを行っていく予定だという。

これまでもオムロンは、世界に先駆けて2次元バーコードにも対応したカメラタイプのコード検証機の提供を行うなど、ニーズに応える展開を行ってきた。

荒木氏は、今後も幅広い業界で活用されるよう、規格や産業構造の変化に対応した製品開発を行っていく、と述べた。

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