5月10日~12日まで東京ビッグサイトにてJAPAN IT WEEK春が開催されている。本展示会はIoT/M2M展を中心として、ビッグデータ活用展やクラウドコンピューティング展も同時開催されており、東京ビッグサイトの東館、西館両方を使った大規模なものだ。
第3回目は、ビジネスの複雑化に伴い増え続けているヘルプデスクやサポートセンター業務や、社内問い合わせに対応するためのAI、チャットボットについて取り上げる。
野村総合研究所 ─TRAINA
一般的なチャットボットでは一問一答形式のデータベースを予め作成しておき、そのルール通りにチャットボットがユーザーの質問に対して回答を提示する、というものが多いが野村総合研究所が開発したAIソリューションTRAINAは既存の業務システムに蓄積されたデータを利用して自動応対システムを構築してくれるというソリューションだ。
もちろん非定型なデータをAIが処理を行うため、自動生成された質問と回答が適切でないためそこは人間がチューニングを行うことになる。大まかな感覚としてはFAQのためのデータベースを構築するのはAIが半分、人間が半分という役割分担で行われているという。ただ、一から全て人間が手作業で一問一答形式のデータを作成する必要がないため、TRAINA導入にかかる期間は約3ヶ月程度で済むとのことだった。
またTRAINAはユーザーから入力された質問が曖昧な場合に目的や意図を絞り込むための新たな質問を自動で生成するという機能を備えている、これにより自動応対で発生しかねない、見当違いの回答や、回答できない、というケースを減らすことができる。
TRAINAはこれまでコールセンターシステムに組み込んだり、Web上のチャットでの提供がメインであったが2017年7月より「LINE」と「Smart M-TALK」との連携機能の追加を予定している。これにより、顧客はLINEなどから気軽に問い合わせを行えるようになり、窓口業務の負担軽減、顧客満足度のさらなる向上が見込まれる。
また、チャットボットによる無人接客では対処しきれない場合には有人接客に自動で切り替える機能も搭載予定だ。音声認識機能の搭載も予定されており、コールセンターにかかってきた問い合わせ内容を自動的にテキスト化、関連する資料やマニュアルをコールセンターシステム上に自動で表示をしたり、応対内容が自動で要約されナレッジとしてシステムに蓄積され、応対のさらなる精緻化が行えるようになる予定だ。
hachidori
株式会社hachidoriが提供するチャットボットは、ある文章が来たら、決まった回答を返すということをブラウザ上でユーザーが手軽に組むことができるものだ。hachidoriは独自の辞書を保有しているため、表現のブレ(日本、にほん、にっぽん、ジャパンなど)を許容してユーザーが設定しなくてもチャットボットが反応をする。
またチャットボットの対応ログをブラウザ上で閲覧することができるため、チャットボットが対応できなかった質問がどういったものか、どのような質問が多いのかということも確認することができる。
「hachidori+」というhachidori社がユーザーのニーズをくみ取りチャットボットを構築してくれるサービスも提供しており、こちらは無印のhachidoriと比べると多少月額費用などが掛かるが、許容されるメッセージ送受信数やサポート内容がリッチなものになるためコールセンター業務にかかっている人的負荷が大きかったり、ユーザーだけではチャットボットを組むことが難しい企業向けのサービスと言える。
ティファナ・ドットコム ─KIZUNA
KIZUNAはソフトバンク社の音声合成機能「Rizbell」FAQ応答機能「APTWARE」を利用したものである。回答のデータをEXCELなどを構築し、それをKIZUNAに適用することでチャットボットが構築される。
多言語に対応しており、ユーザー側で日本語のデータの準備さえ行えばティファナ社で多言語への翻訳を行ってくれる。現在は日本語、英語、中国語、韓国語への対応を行っているため、外国人観光客が来ることがあるが対応できる人材がいないというときなどはKIZUNAで一次対応を行える。
また音声認識と音声合成を標準搭載していることから音声で質問をおこなうことができ、ハンドフリーでの利用が可能だ。
エクスウェア ─TalkQA
エクスウェア社が開発した「TalkQA」は応答させたい質問と回答のデータをIBM Watsonに学習させることでウェブ上のチャット形式でユーザーからの質問に自動で対応ができるようになるものだ。対話のログなどはクラウド上に保存されCSV形式でダウンロードすることができるため、どのような対応をチャットボットが行ったかを確認して、対応精度を日々向上させることが可能である。
またTalkQAの特徴としてPepperとの連携が可能なため従来のpepperでは応答が難しかった内容でもTalkQAの学習データを用いることで利用企業独自の対話をPepperにさせることが可能になっている。
【関連リンク】
・野村総研(NRI)
・hachidori
・ティファナ・ドットコム
・エクスウェア(Xware)
関連記事:
無料メルマガ会員に登録しませんか?
コンサルタント兼IoT/AIライター 人工知能エンジン事業の業務支援に従事するかたわら
一見わかりにくいAIの仕組みをわかりやすく説明するため研究中