クラウドへの潮流は止められない ─AWS Summit Tokyo 2017 レポート1

2017年5月30日(火)~6月2日(金)の4日間にわたり東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテル アネックスタワーを会場として開催されている。

「AWS Summit」は世界中で開催されており、AWS(Amazon web service)に関連した様々な事例や活用方法を知ることができるアマゾンウェブサービス主催のカンファレンスだ。今回の「AWS Summit Tokyo 2017」は、ますます規模を拡大し4日間に及んで開催されており来場予定者数も前回を上回り2万人以上を見込んでいるという。

Day2となる5月31日(水)は初めにアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長による長崎 忠雄氏とゲストスピーカーによる基調講演が行われた。

講演の中ではAWS利用料の日本円決済に対応、どの国の法に準拠するかを選択可能にする(日本も選択可能)などAWSがローカル対応を進めていることを表すものがあった。また日本には現在東京リージョンが存在しているが新たに大阪リージョンを追加することを発表した、これにより冗長化を行いたい企業の選択肢が増えた。

デジタルトランスフォーメーションとAWS活用事例

基調講演のゲストスピーカーとして株式会社三菱東京UFJ銀行 専務取締役 村林 聡 氏が登壇した。MUFGはレガシーと言われがちな銀行業ではあるが、振り込みや送金などのAPIを外部に開放し、Fintechベンチャー企業やSIベンダーなどの他の企業と協力をしてオープンイノベーションを進めようとしている。またブロックチェーン技術を使い新たな決済システムの構築や安価な海外送金サービスの提供を目指している。

MUFGにて分析をしたところ7年後にはMUFGの本社業務の4割はAIなどに置き換えられるようになるのではないかという結果が出たという。それを実現していくためにもクラウドの活用が必須条件であると村林氏は述べた。
 
MUFG_summit2017
 
MUFGではAWS上に構築したMUFGクラウドを活用するためのイニシアティブを6つ定めているという。
・ガバナンス
・サービス企画
・設計
・運用保守
・人材開発
・移行
村林氏はクラウドを効果的に使えるかどうかは人材がいるかに掛かっていると述べ、6つの中で人材開発が重要であると述べた。
 
MUFG_F_summit2017
 
MUFGクラウドで実際に本番稼動しているシステムは5つあり、検討中や開発中の案件は100を超えている。今後の開発やシステムの運用のために人材の育成も進め、クラウドに移行するシステム対象の拡大を目指している。

村林氏は最後に「AWSはIT業界のシェアリングエコノミーであり、皆で使い、AWSとユーザー全員で進化していきたい」と述べた。
 

AWS summit2017 Day2では8個の会場で並行して企業のAWS導入事例や機能についてのセッションが計50以上行われていた、これだけ多くのセッションがあるにも関わらずどの会場もセッション開始前には入場待ちの列ができるなどAWSに対する関心の高さが伺えた。

セッションの内容も単なる導入事例ではなくオンプレミスのシステムをクラウドに移行した結果、数年でこれだけのコストメリットがあった。社内の情報の流れが変わりシステム管理部署の役割が変わりつつある。などのより具体性の高いものが多かった。次回以降のレポートではそういったセッションの内容に触れていく。

AWS Summit 2017 レポート:

  • クラウドへの潮流は止められない
  • インフラだけでなく組織のありかたが変わった(AGC 旭硝子)
  • シンギュラリティはもう起こっている 脳科学者 茂木健一郎氏