産業ロボットの柵外教示の実現に向けて
製造現場では、様々なロボットが稼働している。
作業ロボットによっては、動作中に危険を伴うため、写真のように一定のエリアを柵で囲い、作業者が立ち入らないよう義務付けられている。
ただし、製造現場においては、作業ロボットの動作調整などのため、ティーチング(教示作業)と呼ばれる動作プログラミングを行なっており、柵内で作業を行う場合も出てくる。通常より動作速度を落とすなどして、安全面を考慮した上で行うが、事故につながる事もあり、リスクを伴う。また、作業員不足により、遠隔地から作業を行うというような要望も出てきた。
展示では、カメラで撮影した動画を5G経由で遠隔地に送信し、遠隔地からカメラ画像を見つつ、作業ロボットにティーチングを行う実証実験が公開されていた。
作業ロボットのコントローラーも有線接続ではなく、5Gによる無線通信で遠隔地からコントローラに接続しティーチングを行う。
アームの位置決めなどの、現場でアームの動作を確認しつつ行なっていた緻密な作業を、遠隔地から行うため、動画データの低遅延な送信が必要となり、5Gの活用が期待されている。
東芝インフラシステムズ/クラウド型ID乗車システム
現在普及している改札機は、決済処理を改札機内で行なっているが、クラウドで決済処理を行う改札機が展示されていた。
ID情報を読み取るとクラウドにデータを送信し、クラウド側で処理をした結果を受けて、改札の開閉などを行う。
クラウドで処理を行うため、IDをかざしてから扉が開閉するまでにかかる時間が気になるが、5Gの利用により、実験環境では従来の仕組みと同じ程度のスループットが出ているという。
改札機はデータの入出力と、扉の開閉のみでよくなるため、将来的には安価な改札機が登場する可能性もある。
コスト面以外で言えば、来たるMaaSに向けての活用も視野に入っているようだ。
改札の決済システムをクラウド化する事で、MaaSアプリとの連携が容易になり、例えば、目的地までの最短経路と移動手段が案内され、配車サービスと電車を利用する。この時、決済も一気通貫で終わっている、というようなアプリケーションが登場するかもしれない。
リコー/点検業務効率化に向けたロボット
屋外、悪路や未舗装な環境での運用を考慮した、イングラ点検ロボットになる。
GNSSにより位置情報を取得し、またカメラが3台搭載されており、全方位カメラや前面設置のカメラ画像を、5Gでクラウドに送信し、遠隔地から動画を確認することができる。
フィールドの実証実験では、雑草が生い茂るなか、草が車輪に絡まることもなく太陽光発電施設の外観検査を行えたという。
また、動画を確認しながら、遠隔地より操作を行うこともできる。
展示会場では、ロボットからクラウド環境への通信は5Gとなり、クラウドからPCまではWi-Fi環境とのこと。
操作をしてみたが、感度はよく、PC側からの入力がロボットに動作として反映されるまで、1秒は掛らない程度であった。
(あくまでも体感だが、もっさりした感じは全く無かった)
今後はAIを活用した自律走行も取り込んでいく。
将来的には、今回のロボットが環境情報を取得するセンサーデバイスとして機能し、デジタル空間上に環境データを反映するデジタルツインの世界を実装していきたいという。
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