2020年3月23日、KDDI株式会社は5Gの商用サービス「au 5G」の提供を、3月26日より開始する事を発表した。
オンラインで開催された発表会では、KDDI 代表取締役社長 高橋誠氏が登壇し、音楽ライブやアートなどのコンテンツにおけるBtoCサービス「AUGMENTED EXPERIENCE」の内容や、5G対応スマートフォン、5Gの料金プランについて説明があった。
冒頭高橋氏は、5Gの提供に関して「技術的な話を前面には出さず、BtoCについては新しい体験価値をもたらす事、BtoBについてはビジネスモデルを変化させる事を目指す」と、同社の目標を述べた。
BtoCサービス「AUGMENTED EXPERIENCE」、4つのコンテンツ
まず、BtoCのサービスである「AUGMENTED EXPERIENCE」について、映像作品とのコラボレーション、音楽ライブ、アート、スポーツ、という4つの領域に関するコンテンツを紹介した。

XRで、リアルの街と一体化したアニメの世界を楽しむ
1点目は「AUGMENTED Walk」。これはXR技術を使い、街のリアルの風景とアニメーションの映像を合成することで、ユーザーが街中で作品の世界に浸る事ができる、というコンテンツだ。

「AUGMENTED Walk」の第1弾として、アニメ「攻殻機動隊SAC_2045」とコラボレーションしたショーケースを、4月16日より渋谷にて展開予定だという。ショーケースでは、アニメのキャラクターとリアルの風景が一体となる「XRビューイング」や「ARタチコマ」といったコンテンツを楽しむ事が出来るという。
遠隔と現地、双方の音楽体験を向上させるau5Gライブ
2点目は「AUGMENTED Entertainment」。これは音楽ライブなどにおいて、遠隔地への映像配信やVR映像といった、ライブ体験を拡張する「au 5G LIVE」の提供を行う、というものだ。
au 5G LIVEは、主に以下の3つに関して取り組みを行うサービスだ。

2つ目は、現地でのライブ体験をより盛り上げる技術を提供すること。具体的には、観客の身振りや手振りを検知し、リアルタイムに演出へ反映させる、といった技術に取り組む事が紹介された。
3つ目は、自由視点、VRといった技術を使い、スマートフォンで多種多様なライブ映像の楽しみ方を提供することだ。
「AUGMENTED Entertainment」の第1弾として、7月オープン予定のホール「Zepp Haneda(TOKYO)」に5G基地局を設置し、同場所で開催予定の人気バンド「SEKAI NO OWARI」のライブにてau 5G LIVEを活用した演出を行う。

音楽ライブに関しては、5G技術の演出への活用を実験する施設「SUPER DOMMUNE tuned by au 5G」の創設も紹介された。この施設では、世界中からDJが遠隔でライブに参加できる技術や、脳波を可視化して演出に反映させる技術を研究するということだ。

また、音楽分野への取り組みとして、SHOWROOM株式会社と提携し、プロのクリエイターによって製作された縦型動画コンテンツを配信するサービス「smash.」を提供する予定である事が発表された。

音楽以外のライブに関しては、吉本興行のお笑いライブ会場にて5G基地局を設置することが紹介された。
ARグラスで国宝を鑑賞
3点目は「AUGMENTED Art」。これはARグラスを使用した芸術鑑賞のコンテンツであるという。

提供予定のコンテンツとして、CGキャラクター「MEME」とのコラボレーション、東京国立博物館所蔵の国宝「聖徳太子絵伝」のARを使った鑑賞が紹介された。
サッカー選手のキックフォームを解析して試合鑑賞
4点目は「AUGMENTED Sprts」。これは5G対応スマートフォンやスマートグラスを通して、ARや自由視点といった技術を使いながらスポーツ観戦を楽しむコンテンツだ。

コンテンツ提供の場所として、プロ野球では横浜スタジアム、Jリーグでは豊田スタジアムを予定しているという。豊田スタジアムでは、選手のシュート数や試合スコアをARで表示するコンテンツや、選手のキックフォームの解析を行うコンテンツを楽しめる。

また、スポーツの分野に関しては、本田圭佑氏が代表を務めるNowDo株式会社と提携し、自由視点映像やドローンといったテクノロジーを活用して、サッカーの練習を高度化する取り組みを行う事が発表された。
なお、「AUGMENTED EXPERIENCE」以外のBtoC向けサービスでは、クラウドゲーム「GeForce NOW」を今夏に提供予定であることが紹介された。
次ページは、「BtoBサービスでは、遠隔作業支援・4K映像活用などに取り組む」
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。