KDDIとサムスン電子、RICを活用した5G SAのSLA保証型スライシング実証に成功

SLA保証は、顧客のユースケースやアプリケーションのニーズに応じた通信品質を提供するために必要になる。これまでは通信品質の上限は提示するものの保証はしないベストエフォートが一般的だった。

高画質映像のライブ配信などを実現するにあたって、5Gのスタンドアローン構成(以下、5G SA)(※1)を活用した高速かつ低遅延な通信を、安定的に提供することが求められており、5G SAにおけるSLA保証型のネットワークスライシングの実現が期待されている。

KDDI株式会社は、2020年9月にエンド・ツー・エンドで品質保証や低遅延などのネットワークスライスを複数・同時に生成することに成功している。これまでは、実証環境で各スライスの通信品質を保証する機能の検証を進め、その後、商用環境への適用を検討していた。

このほど、KDDIとSamsung Electronics Co., Ltd.は、5G SAにおいて、SLA保証型のネットワークスライシングの商用基地局でのフィールド実証を2022年11月29日に実施し、成功したことを発表した。そして、O-RAN ALLIANCE(※2)で規定するRIC(※3)からの指示にもとづいて、通信環境の変化に応じて必要なリソースをリアルタイムに提供し、SLAに準じた通信要求に応じる仕組みを開発した。

同実証では、RICを通して端末単位の通信品質を監視する機能や要求品質に応じて無線リソースを制御する機能を追加することで、通信品質が変動する状況や、通信要件が異なる複数のスライスが存在するような商用環境下でも各端末のSLA保証を実現する仕組みを実装した。

KDDIは今後、2024年度のネットワークスライシングの本格提供に向け、さまざまなパートナーと共に研究開発を進めていくとしている。

※1 5G SA:5G基地局に5G専用に開発したコアネットワーク設備を組み合わせるシステム。
※2 O-RAN ALLIANCE:「Open Radio Access Network ALLIANCE」の略称。5Gをはじめとする次世代の無線アクセスネットワークをよりオープンでインテリジェントにすることを目的に活動している業界団体。
※3 RIC:「RAN Intelligent Controller」の略称。O-RAN ALLIANCEで規定されているRANの高度な制御を行うコントローラ。AI・機械学習と組み合わせた高度な制御により通信品質の向上の実現が期待されている。

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