GNSSとは?
衛星測位システム(以下、GNSS)は、地球上のどこにいても衛星を利用して位置情報を取得する仕組みの総称だ。世界各国や地域で測位に利用可能な衛星が打ち上げられており、代表的なシステムとして、アメリカが運用するGPSのほか、日本のQZSS(準天頂衛星システム:以下、みちびき)、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国のBeiDouが挙げられる。
GNSSの課題
精度の高い測位を行うためには、同時に利用可能な衛星の数や配置に大きく依存する。一般的に、最低4基の衛星が良い配置で見える必要があると言われているが、ビルや山といった様々な遮蔽物により、良い配置に衛星が見えない時間が実際には多く存在している。
みちびきの取り組み
そこでみちびきは、2026年には現在の4機体制から7機体制となり、運用がより本格化するほか、現在位置を正確に求めるためのセンチメータ級測位補強情報である「L6信号」を発信している。このL6信号を受信することで、誤差数cmで測位を行えるというものだ。
新型マルチGNSSアンテナの概要
こうした中、小峰無線電機株式会社は、L6信号を含めた様々な周波数帯を受信可能なマルチGNSSアンテナの発売すると発表した。
このアンテナは、受信チップとアンテナ一体型のGNSSユニットで、付属のUSBケーブルでPCに接続することで、各アプリでデータを確認することができる。
小峰無線電機はすでにL1、L2の2周波対応の「RJF9P2」を展開しているが、今回L6信号も受信可能な2つの機種「RJCLAS-L6」「RJFD9P-L6」を開発した形だ。
「RJCLAS-L6」には、Septentrio社製の「mosaic-CLAS」を使用しており、出力方式はSeptentrio Binary Format、NMEA0183、Rinex、RTCMに対応。内蔵のmicroSDカードにデータを保存し、Rxtoolsによりそのデータを取り出すことも可能だ。
一方「RJFD9P-L6」には、ublox社製の「ZED-F9P+ZED-D9C」を内蔵。出力方式はUBX、NMEA0183、RTCM3.3に対応している。
このアンテナを活用することで、それぞれの国や地域の衛星からの信号を受信することが可能となり、対応する受信機と組み合わせることで、より高精度な即位を可能にする。
特に日本においては、QZSSが日本のほぼ頂点にいるため、良い配置で見える可能性が高くなるとのことだ。
また、GNSSを利用した高精度な位置測定技術の一つであるRTKを用いることで、その誤差をメートル単位からセンチメートル単位まで抑えることも可能だ。
なお、このマルチGNSSアンテナは、LTE帯域(1.5GHz帯)周辺のノイズキャンセリング機能を搭載するなど、日本国内の電波利用状況を考慮した設計となっているとのことで、2024年12月6日より受注を開始し、2025年1月6日から量産販売を開始する予定だ。
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