株式会社竹中工務店は、株式会社カナモトと共同で、建設期間中に複数階でのロボットによる資材配送を可能とする開発の実証を行なった。配送ロボットおよび本設エレベーターのコントロールは、竹中工務店が開発した「建設ロボットプラットフォーム」を用いて行い、その有用性を確認した。
今回の実証では、アスラテック株式会社が国内で展開する、香港Rice Robotics社製の自律走行型配送ロボット「RICE(ライス)」を使用している。
通常、「RICE」などのサービスロボットは、各ロボットの独自システムで動作しており、操作方法も各ロボットで異なっているが、建設ロボットプラットフォームでは、BIMを用いて地図を生成するため、手動操作による走行ルート設定を行う必要がない。
実証では、2階建て建物1階の充電ステーションに設置されたRICEに、2階の所定位置まで資材を運搬するタスクを与えた。
1階では充電ステーションからエレベーターまでを走行し、エレベータに乗り込み2階へ移動、2階ではエレベーターから降り所定のエリアまで移動し、資材ボックス内の資材を受け渡す。タスク終了後は、同ルートで1階の充電ステーションに自律で戻る。
走行ルートに置かれた資材や人は、ロボット自ら障害物として判断し、避けるルートを自動で生成する。
本設エレベーターとの連動は、三菱電機の本設エレベータに仮設でIoT機器を取付け、建設期間中の本設エレベータ仮使用時において、複数階に資材の配送を行った。
ロボットがエレベーターに搭乗する際は、ロボットがエレベーター前まで移動し、建設ロボットプラットフォームを通じて、IoTプラットフォーム(Ville-feuille)にエレベーターを呼ぶ要求や、目的階の指示を出し、ロボットが降りた後は通常の運用状態に戻るという仕組みだ。
実証の結果、建設期間中の軽材料の配送や、熱中症対策のためのドリンク配送など、必要なものを必要な場所へ配送することが可能だということが確認できた。また、360度カメラを搭載することで、期中の工事進捗状況の確認にも利用でき、作業の効率化、建設作業者へのサービス提供への活用が期待されている。
今後は、建設ロボットプラットフォームを利用した、工事用エレベーターと大型資材搬送ロボットの連携を目指すとともに、建設時に利用したロボットや管理用の地図を、建物引き渡し後も利用できるように開発展開を進めていく、としている。
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