KDDI株式会社と株式会社KDDI総合研究所は、水中での複数の作業者やダイバーの位置特定が可能な水中音響測位装置を開発し、2023年8月より静岡県沼津市沿岸で実証実験を実施した。
実証実験では、10台の超音波発信器を水深2~30メートルの各位置に沈め、超音波発信器の発信タイミングを0.1秒ずつずらし、受信器側も同じタイミングで受信することで、10台の位置を毎秒計算し観測することを可能とした。

また、10台のうち3台の超音波発信器を2名のダイバーと1台の水中ドローンに装着し、潜行するダイバーと水中ドローンの位置を毎秒可視化することに成功した。

さらに、音波を使った測定は、一般に海面などの反射が大きく影響するが、これまで培った水中音響測位技術の知識や技術の蓄積により、今回の実装方式ではこの問題を軽減し、実海域で動作することが確認された。
これにより、ダイバーや水中ドローンの位置と動き(位置の時間推移)が陸上でも把握することができる。それぞれの位置情報や動きをダイバーへフィードバックすることで、水中活動の安全性、効率を向上させることが期待される。

なお、今回の実証実験では、対象物から発する超音波の位相差や、到達時間から対象物の位置を求めることが可能な技術「SSBL(Super Short Base Line)音響測位技術」が用いられている。
今後は、位置測定性能の向上、測定対象数の拡大、測定範囲の延伸などの開発を行なっていくとしている。
利用範囲は港湾事業や漁業に加え、スキューバダイビングなどのレジャーへの活用も検討していく予定だ。
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