就学前施設において、園児の不慮の事故が年々増加傾向にあり、2021年度では2016年度と比較し約2.7倍に増えている。
相次ぐ送迎バスの置き去り事故の発生を受け、2023年4月より厚生労働省の省令等による安全装置の設置義務化など安全対策も講じられているが、慢性的な人手不足等の理由もあり、不慮の事故に対して就学前施設で対策が十分に講じられていない現状にある。また、園児への暴言や暴力といった不適切な保育も報じられており、就学前の子どもを育てる親が安心して子どもを預けられる環境・体制づくりが求められている。
株式会社MOYAIとあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)は、MOYAIが提供する次世代ネットワーク型カメラ「IoTube」を保育所や幼稚園、認定こども園といった施設(以下、就学前施設)に設置し、IoTubeから得られるデータを活用した事故低減・防止を皮切りに、施設利用者と施設運営スタッフ双方にとっての「安心・安全・快適(A2K)」の実現に向け、協業を開始した。
IoTubeは、4G通信機能を備えた防犯カメラ及び⾏動解析デバイスである。撮影動画に加えて内蔵センサーにより取得できる音声や温度等のデータを保存できるほか、遠隔地よりリアルタイム監視や双⽅向通話を行える機能を装備している。
同協業により、IoTubeを就学前施設に設置し、そこから得られる映像・音声データ等をあいおいニッセイ同和損保が分析する。そのデータ分析をもとに、MOYAIが就学前施設内での異常事態検知や、リアルタイム監視による現場状況の可視化、関係者へのアラート送信などへの活用を検討し、園児の不慮の事故発生を未然に防止する環境・体制づくりを行う。
また、IoTubeを設置した就学前施設向けに、あいおいニッセイ同和損保が保有する就学前施設の虐待防止の研修ツール「就学前施設のための虐待防止 虎の巻」の提供や、万が一不適切保育がSNS等で拡散された場合に行うコンサルタント費用等を補償する「KIDS見守り安心保険パッケージ」を提供する。
就学前施設のための虐待防止 虎の巻は、園児の虐待防止に関する内容が記載された全36ページの保育者向け研修冊子である。「こどもが出歩いてしまわないように部屋にとじ込める」「泣き止まないこどもに暴力をふるう」といった行為により法的責任を負う可能性があるなど、コンプライアンスとハラスメントに密接なかかわりがあることを説明しているほか、就学前施設におけるハラスメントは「こどものために」といった思い込みも起因しており、運営者や管理者が正しく環境認識し指導・育成をすることが重要、などの内容が記書かれている。
KIDS見守り安心保険パッケージでは、不適切保育が「Yahoo!ニュース」や「LINEニュース」などのSNS媒体に掲載された際、施設のブランドイメージ回復または失墜防止のために、保育事業者が受けるコンサルティング費用や謝罪のための会見などに要した費用を補償する。就学前施設を運営する保育事業者が被保険者となる。保険金支払限度額は、IoTubeの設置台数により20万円~500万円で設定されており、例えばIoTubeを5台設置した施設の場合は、100万円としている。
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