日本電信電話株式会社(以下、NTT)と日本電気株式会社(以下、NEC)は、ネットワーク・情報処理基盤の構想「IOWN」の一部であるオールフォトニクス・ネットワーク(以下、APN)の適用範囲を拡大するために必要な、波長アダプタ機能を持つ光ノードシステムを開発し、同光ノードシステムが複数回の波長変換を行いながら長距離伝送可能であることを実証した。
これまでNTTは、APNを構成する光ノードシステム「Photonic Exchange」を研究開発してきた。長距離のエンドツーエンド光パスを効率的に提供するためには、Photonic Exchangeが光パスの波長を所望の波長に変換して適応させる波長アダプタ機能と、伝送性能の確保を両立する必要がある。
NECは、各光パスの波長を任意の他の波長に変換できる光-電気アナログ-光(Optical-Analog-Optical:以下、OAO)型波長変換技術の研究開発を進めてきた。
そして今回、NTTが研究開発を進めているPhotonic Exchangeに、NECが研究開発を進めているOAO型波長変換技術を活用して、波長アダプタ機能の実験実証を行った形だ。
具体的には、OAO型波長変換器のプロトタイプを使用して、1周回あたり2個のOAO型波長変換器を含む周回伝送実験系を構築した。この実験系を使用して、複数回の波長変換を伴う100Gbps/λの光信号品質を測定した。
その結果、4回の波長変換を施しても3,000km以上の伝送性能の確保ができたことを確認した。さらに、実験で使用したOAO型波長変換器では、従来の波長変換手法と比較して、波長変換により生じる消費電力を約90%削減、遅延量を約99%削減することができたのだという。
なお、今回の実験で確認できた伝送距離は、日本で提供することを想定した場合、本州を縦断できる距離に相当するとのことだ。
これにより両社は、工場DX、インタラクティブなライブ映像配信サービス、遠隔手術等のIOWNサービス提供エリアの拡大に寄与するとしている。
また、今回の実験で複数回の波長変換を確認できたことから、異なる事業者が管理するネットワークを跨ったエンドツーエンド光パスの実現にも貢献するという。
今後は、APNの発展に向けて、波長アダプタ機能を有したPhotonic Exchange適用のユースケース実証を進めていく計画だ。
なお、今回の研究成果の一部は、2024年11月25日~29日に開催される「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」に展示される予定だ。
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