KDDI株式会社と株式会社KDDI総合研究所は、3Dメッシュ映像の高効率な圧縮技術に関する国際標準規格であるV-DMCの暫定仕様に対応した、リアルタイム圧縮技術を開発した。
3Dメッシュ映像の伝送には膨大なデータの圧縮が必要であるため、今回開発された技術では、処理負荷を軽減させるため、圧縮処理の並列化と圧縮処理自体の簡素化を取り入れた。
通常、圧縮処理自体を簡素化して処理速度を向上させると圧縮効率が低下し、同一のデータ量における映像品質が劣化する。
そこで今回、20種類の処理簡素化技術を導入することで、映像品質を維持したまま、従来のソフトウエアエンコーダに対して圧縮処理速度を6倍向上させた。
加えて、処理簡素化技術のひとつとして、3Dメッシュ映像のデータを構成する色情報(二次元画像)において、圧縮処理前の二次元画像を生成する際に、二次元画像内を構成するテクスチャ領域と、非テクスチャ領域の境界に生じる色の変化を小さくすることで、効率的に二次元画像を圧縮する仕組みを導入した。

その結果、映像品質を維持した状態で、従来のソフトウエアエンコーダと比較して、圧縮処理速度を1,440倍に向上させることに成功した。
また、同技術を搭載したリアルタイムソフトウエアエンコーダーを用いて、ボリュメトリックスタジオで撮影した3Dメッシュ映像を圧縮し、受信拠点に伝送・再生する実験に成功した。
同技術を搭載したエンコーダでは、分割処理と圧縮処理について、それぞれの特性に応じてCPUとGPUを使い分けることで、処理量を平準化した。
これにより、CPUとGPUの性能を最大限に活用することができ、従来のソフトウエアエンコーダに対して圧縮処理速度を240倍向上させた。

なお、KDDIとKDDI総合研究所は、2023年10月にV-DMCに対応したリアルタイム再生技術を開発しており、今回開発された技術とV-DMCのリアルタイム再生技術を組み合わせることで、3Dコンテンツの人物などの動きを忠実に再現した高品質な状態で、リアルタイムに配信することが可能になった。

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